雄星交渉役だったレ軍ホランド プホルス斬り

[ 2011年10月25日 06:00 ]

<レンジャーズ・カージナルス>8回1/3を無失点に抑えたホランド

ワールドシリーズ第4戦 レンジャーズ4―0カージナルス

(10月23日 アーリントン)
 レンジャーズは23日(日本時間24日)、カージナルスとのワールドシリーズ第4戦でデレク・ホランド投手(25)が8回1/3を2安打無失点と好投して対戦成績を2勝2敗のタイに戻した。第3戦で3打席連続本塁打のアルバート・プホルス内野手(31)も3打数無安打に封じた。ワールドシリーズ初先発の同投手は09年オフ、花巻東の菊池雄星投手(20=現西武)の進路面談のために来日。2年前の交渉役が、大舞台で主役となった。
【試合結果】

 マウンドのホランドは、ロン・ワシントン監督が近寄ってくると首を振った。「併殺に打ち取れる。投げたい」。9回1死一塁。ワールドシリーズ初先発初完封へあと2アウトで投球数は118球。最後は納得して降板した背中に、人生で一番の声援が降り注いだ。

 「小さいころからワールドシリーズで勝利するのが夢だった。あんな大歓声は初めてで鳥肌が立った。最高の気分だよ」

 前日16得点のカ軍相手に、左腕は最速97マイル(約156キロ)の速球で押しまくった。一方で前日3打席連続本塁打のプホルスには1、2打席目はチェンジアップを決め球に遊ゴロ、一邪飛。3打席目は初めて突いた内角を見せ球に、外角直球で投ゴロに仕留めるなど打撃をさせず3打席凡退。「ホランドは凄い投球だった。捉えられなかった」と現役最強打者・プホルスも完敗を認めた。

 昨年、ジャイアンツとのワールドシリーズ第2戦は中継ぎで初登板して3連続四球で降板。同じ失敗を繰り返さないため、20日のブルペン投球は敵地第2戦の9回に行った。「歓声を聞き、打者との対戦も思い描いた。アドレナリンが出る中で、全てコントロールできたんだ」。負ければ追い込まれる一戦の大仕事の裏には工夫もあった。

 球団史上初の世界一を狙うチームの強さは育成システムの充実にある。ノーラン・ライアン球団社長が提唱する遠投中心の投げ込みで、ホランドの球速は試合終盤まで150キロを超えるようになった。06年ドラフト25巡目左腕が、今季リーグトップタイの4完封含む16勝。09年は菊池との面談で育成システムの説明役も託された25歳のホランドは、黄金時代へと向かうレ軍の象徴でもある。

 「僕がこの舞台にふさわしいと証明できた」

 ワシントン監督に、試合前に頬を張ってもらった左腕はチームに流れを引き込む快投に笑った。

 ◆デレク・ホランド 1986年10月9日、米オハイオ州生まれの25歳。06年ドラフト25巡目でレンジャーズ入団。09年4月22日のブルージェイズ戦でメジャーデビュー。同年5月に松井(ヤンキース=現アスレチックス)に日米通算450号を被弾。同年9月にもイチロー(マリナーズ)に大リーグ史上初の9年連続200安打となる遊撃内野安打を打たれた。昨季は3勝止まりも、今季は先発ローテーション入りして16勝をマーク。通算成績は79試合27勝22敗、防御率4・73。1メートル88、88キロ。左投げ両打ち。

 ≪ホランドの菊池詣≫09年10月19日、大リーグ志望でもあった岩手・花巻東の菊池雄星(現西武)の面談で、レンジャーズはスカウトのほか「隠し玉」として同じ左腕で当時新人として8勝を挙げた23歳のホランドを同席させた。ホランドは約30分間の面談で菊池と談笑。なぜか持参したプロゴルファー・石川遼がプリントされた大型パネルもプレゼントすると「メジャーはどういうところかを話すために来た。競争は激しいが闘争心もあるので問題ないだろう」と話して、翌20日に帰国した。

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2011年10月25日のニュース