復活 永川勝 圧巻の6連続奪三振「置かれている立場が立場なので」

[ 2011年5月18日 11:05 ]

<ソ・広>2イニングを6三振で抑え永川

交流戦 広島4-4ソフトバンク

(5月17日 ヤフーD)
 頼れる男が帰ってきた。4―4と同点の延長10回から今季初登板を果たした広島・永川勝浩投手(30)が2回6奪三振のパーフェクト投球。強力ソフトバンク打線に付けいる隙を与えず、チームに引き分けの結果を導いた。右ひじ痛の影響で2軍調整を続け、今月15日に出場選手登録されたばかりの永川勝。かつての守護神が本領を発揮し、勝利の方程式に組み込まれれば、赤ヘルリリーフ陣は盤石となる。

 敵地のマウンドに帰ってきた背番号「20」が君臨した。延長10回、そして11回。失点が即サヨナラ負けにつながる窮地で、永川勝が確かな輝きを放った。1番・川崎から6番・多村まで驚異の6連続奪三振。かつての守護神は強力ソフトバンク打線を上から見下ろし、力でねじ伏せてみせた。

 圧巻の奪三振ショーだった。10回先頭の1番・川崎を146キロ直球で空振り三振に仕留めると、永川勝のエンジンに火が入った。続く本多から147キロ直球で空振り三振を奪い、パ・リーグ首位打者の内川は落差の大きいフォークで見逃しの3球三振。11回もカブレラ、小久保、多村と続く長距離砲から次々と三振を奪った。

 「ホッとしました。球のキレは僕には分からない。たまたま抑えられただけだし、これからも1球1球、一生懸命投げるだけです」

 直球の最速は150キロを計測。昨年シーズン中に投じていたスライダー、カーブは一切投じなかった。威力抜群の速球と落差激しいフォーク。本来の持ち味さえ出せれば、怖いものはない。何よりもマウンド上での迫力ある投球フォーム、表情が戻ったことが復活の証しだった。

 野村監督は永川勝の働きを最大限に評価した。

 「今日は永川が初登板でよく頑張ってくれた」

 赤ヘル投手陣はリーグトップタイ8セーブをマークするサファテが守護神を務める。指揮官は「サファテのところを代えることは考えていない」としたうえで「(課題は)その前だよね」とする。この日も2点リードの8回に送り出した青木が1点差とされ、同点の走者を残したまま降板。続く上野が同点打を許し、逃げ切りを果たせなかった。リリーフ陣を盤石とするために、永川勝をセットアッパーとして起用する構えだ。

 かつての守護神は淡々とかみしめるように言葉をはき出した。

 「今日はよかったですが、これを続けていかないと。今、」

 自分の居場所は自分でつかみ取る。永川勝の“逆襲”が始まった。

続きを表示

2011年5月18日のニュース