教え子は津波に…九州国際大付 若生監督 悲しみ胸にしまい初戦勝利

[ 2011年3月23日 17:51 ]

第83回センバツ高校野球 九州国際大付7―1前橋育英

(3月23日)
 教え子を亡くした悲しみを胸にしまい込み、春の甲子園初戦を白星で飾った。23日の選抜高校野球大会1回戦で前橋育英高(群馬)を下した九州国際大付高(福岡)の若生正広監督(60)は東日本大震災で甚大な被害を受けた宮城県の出身。2004年まで仙台市の東北高を率いた指揮官が震災と闘う郷土に勝利を届けた。

 悲報を受けたのは19日。母校でもある東北高の監督時代の教え子が遺体で発見されたことを知らされた。「ショックだった」。一度は避難したが、友人を助けるために戻り津波にのみ込まれたという。「あいつらしいな。優しい子だったから」。昨春会った際の顔を思い出し、沈痛な表情でつぶやいた。

 若生監督の自宅は今も仙台市にあり、家族が被災した。無事だったというが、不安は尽きない。「個人的なことなので…」と九州国際大付高の選手には詳しくは語っていない。亡くなった教え子の同級生で東北高野球部の我妻敏部長(28)とは、悲しみをともにしながらも健闘を誓い合った。「大会に集中して頑張る」。

 自らに言い聞かせて臨んだ試合は打線が4本塁打を放って快勝。「(仙台には)自分の地域のチームみたいに応援してくれる人も多い。元気な姿を見せられてよかった」

 九州国際大付の2回戦は大会第6日(28日)の第2試合。第1試合では東北高が戦う。「刺激を与えられたんじゃないかな。楽しみにしている」。母校の活躍を願い、静かに球場を後にした。

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2011年3月23日のニュース