岩村41打席ぶり安打!「心の中でガッツポーズ」

[ 2010年5月25日 06:00 ]

捕手からの送球を伸び上がって受けるパイレーツの岩村(上)

 【パイレーツ3-2ブレーブス】パイレーツ・岩村明憲内野手(31)が23日(日本時間24日)、ブレーブス戦の5回に7日(同8日)以来、41打席ぶりとなる安打を記録。日本人大リーガー最長のスランプからようやく脱出した。今季は開幕直後から背中の張りを訴え、今月15日には右太腿裏を痛めるなど故障続きもあって、不振を極めていた。チームも延長10回にサヨナラ勝ち。日米通算1500安打にあと26本と迫るリードオフマンが復活ののろしを上げた。

【試合結果


 痛烈な打球が一、二塁間を抜ける。5回2死二塁。右腕メドレンのチェンジアップに2球続けて空振りした後に、際どいコースを見極めてフルカウントまで持ち込む。そして放った右前打は、岩村にとって実に41打席ぶりの安打。本塁突入を試みた二塁走者は憤死し、適時打とはならなかったが、岩村は久々の快打に酔いしれた。

 「心の中ではめちゃめちゃガッツポーズをしていた。(打席で)粘っている間に自分のリズムに戻れた。ヒットは精神的に苦しかったことを忘れさせてくれた」

 まさに、結果は何よりの良薬。長く暗いトンネルを抜けると、7回には左中間二塁打。4月28日以来のマルチ安打も記録し、「(二塁打も)笑いが止まらなかった」と久しぶりに晴れやかな表情を見せた。

 昨季に左ひざじん帯を部分断裂。完全復活を期した今季はトレードで、パ軍に移籍。1番打者として17年連続負け越し中の古豪復活を託されたことで、今季から「より強く、スピンのかかった打球を打つため」にグリップの位置を高く上げ、ボールを叩きつけるような新打法にした。しかし、開幕直後に背中の張りを訴えて、フォームバランスを崩した。今月15日には右太腿裏を痛めるなど故障続き。不振に拍車がかかり、「どうしたらいいのかわからない」、「本当につらい」という言葉が口を突いた。

 5月はこの試合前までわずか2安打。地元ファンからも激しいブーイングを浴びた。「何事も苦しむことが楚(いしずえ)となる」という「何苦楚(なにくそ)魂」が信条の岩村ですら、「屈しない心を持っていればいつか(安打が)出るだろうとは思っていたが、簡単にいくような精神状態ではなかった」と何度も心が折れかけた。

 低迷が続く古巣ヤクルトの連敗よりひと足先にトンネルは抜けたが、打率はまだ・161。同じ二塁手の松井稼は・141でアストロズを事実上解雇された。パ軍とは1年契約。厳しい状況はまだ変わらない。それでも、試合後のクラブハウスには「(きょうが)きっかけになる」と力強く話す姿があった。

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2010年5月25日のニュース