イチロー“オバマ禁断のサインボール”手渡しゲット

[ 2009年7月16日 06:00 ]

<ナ・リーグVSア・リーグ>初回いきなり右前打を放つイチロー

 マリナーズのイチロー外野手(34)が14日(日本時間15日)、9年連続で出場したオールスター戦でバラク・オバマ米大統領(47)と感激の対面を果たした。試合前のクラブハウスで「殿堂入り選手」と声を掛けられると、“禁断”のサインボールまでゲットした。試合は1番・右翼で先発し3打数1安打。収穫の多い「真夏の祭典」を終え、後半戦では前人未到の9年連続200安打へと加速する。

 【ア・リーグ4―3ナ・リーグ】メジャーのスター選手も直立不動になった試合前のクラブハウス。背番号51のロッカー前にいたのは“イチロー少年”だった。オバマ大統領があいさつに訪れると、目は輝き、子供のような無邪気な笑みが浮かぶ。サインボールを手渡された際には、あまりの感激に隣で様子を撮っていたテレビカメラにボールを見せた。いつもクールな男はそこにはいなかった。
 「(君の)ビッグファンって言ってくれたので“マジかよ”と。本当かウソかは分からないけど、知っていただいていることが僕にとっては驚きだった。感動しました」
 やはり“何か”持っている男だ。試合前、政府サイドから選手には“サインおねだり禁止”が発令されていた。前日から接触を試みる計画を練っていたイチローは、無理は承知の上で果敢に挑むことを決心した。だが大統領が歩み寄った肝心な時に、椅子の上に置いてあったボールが足元に転がり落ちてしまった。
 「ヤバいって思ったら大統領がその球を拾って“サイン欲しいかい?”と聞いてくれた。断る理由もないしきっちりいただきました」
 気さくな大統領は「これでいいかい、殿堂入り選手!」と最大級の褒め言葉でボールを手渡した。さらに「何でそんなに肩が強いんだ?」など質問攻め。そのオーラにイチローも圧倒された。「What’s up?(調子はどう)って言う予定だったけど、とてもそんな雰囲気じゃなかった。だから“Nice to meet you’ Sir(お会いできて光栄です)”って。Sir(目上の人に対する敬称)なんて使ったの初めて。ちょっと圧倒された」と苦笑いだった。
 9度目の球宴はこれまでにない特別な時間だった。今季は胃潰瘍(かいよう)を患い開幕から8試合欠場。一度は出場をあきらめていたが、序盤から爆発し定位置を確保した。前日には自身がシーズン安打記録を破ったジョージ・シスラーの墓前を訪問することもできた。初回の第1打席では昨季のサイ・ヤング賞投手、リンスカムと対戦。前夜レストランでワインをごちそうになったマドン監督と約束した「初球本塁打」は惜しくもポール右に切れたが、5球目を右前打。2点先制の口火を切り勝利に貢献した。
 5回の守備でお役ご免となったが「もう大統領とシスラーさんですね。この2つは生涯(記憶に)残る」と大感激。“人種の壁”を破り、アフリカ系アメリカ人では初めて米国のトップに立ったオバマ大統領から刺激を受け、イチローはこの先も“記録の壁”を破っていく。(浮田圭一郎通信員)

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2009年7月16日のニュース