ユウキ古巣斬り！オリに戦力外の“恩返し”

＜オ・ヤ＞ユウキは古巣・オリックスから勝利を挙げウイニングボールを手にファンの声援に応える

　【ヤクルト３―１オリックス】悔しさは神戸に置いてきた。７年間在籍したオリックスから昨秋に戦力外通告を受けたユウキが、５回５安打１失点で今季２勝目。育成枠から支配下登録後４試合目の登板で古巣から白星を挙げたが「特別な感情はない。一緒にいる時はどう攻めるかは考えていないから、よく知らないものですよ」と淡々と話した。

　初回１死一塁から連打を浴びて先制点を献上した。ワインドアップでは投球時のバランスに苦しみ、２回途中にセットに変更してから制球が安定。下山、日高らオリックス時代の先輩には１安打も許さずにマウンドを譲った。
　推定７０キロ台の超遅球で相手打者のタイミングを外した。直球と同じ握りで投げるもので「小学校の時から投げていた」という。４回２死、粘る日高には９球目に投じ遊ゴロに打ち取るなど合計５球を効果的に挟んだ。荒木投手コーチは「カウントを稼げるし、相手を拍子抜けさせることにもなる」と分析。現在は新兵器としてシュートを練習しており、幻惑投球の幅を広げようとしている。
　ユウキが９８年近鉄入団当時、近鉄に在籍していた長田コンディショニングコーチは「高卒の選手にありがちなソワソワしたところがなく、ハングリー精神が強かった」と振り返る。チームは連勝で交流戦の貯金は１。ポーカーフェースを装っていた右腕は「知っている顔が多かったので投げにくかった…いや、普通です」。反骨精神が顔をのぞかせた。