好救援!決勝打!菊池、逆転4強導いた

[ 2009年4月1日 06:00 ]

<花巻東・南陽工>9回、花巻東・菊池は相手打者のスイングをアピール

 【花巻東5―3南陽工】みちのくの怪腕が気迫の投球で逆転4強入りを呼び込んだ。31日、先発を回避した大会No・1の呼び声高い花巻東・菊池雄星投手(3年)は6回から登板。最速148キロをマークするなど4回を無失点に抑えた。打っては7回に勝ち越しの左越え適時二塁打と投打にわたる活躍を見せた。1日の準決勝は同じみちのく勢の利府(宮城)と対戦。東北初の大旗は手の届くところにある。

【試合結果


 休ませてくれたナインのために、こん身の力を振り絞った。2点リードの9回は2死満塁。今大会最大のピンチで山崎を145キロの外角直球で見逃しの三振。菊池はマウンドにしゃがみ込んで左拳を思い切り握り締め、そして雄叫びを上げた。
 「猿川が頑張ってくれてたので、気迫を出して投げました。これであしたからはベストな状態で臨める。準決勝、決勝は自分が投げるつもりでいます」
 史上初の3戦連続完封&2ケタ奪三振が懸かった一戦。先発マウンドに菊池の姿はなかった。佐々木監督は決勝まで3日連投となることを考慮。「批判は覚悟の上」と昨秋公式戦で2回しか投げていない猿川の先発起用を前夜、ナインに通達した。記録よりも勝利。昨秋8試合で3度救援を経験している菊池も心構えはできていた。
 出番は1―3と2点ビハインド6回。「ピンチの時に流れを変えるのが本当のエース」。流れを引き寄せるために投球テンポを早めた。三振を取るたびにあえて派手にガッツポーズ。雄叫びを上げ続けた。「勢いをつければ野手が追いついてくれる」。言葉通りに打線は7回、猿川が中越え同点2ラン。さらに2死一塁として菊池は自ら勝ち越しの左越え2塁打。投げて打って、チームを勝利へと導いた。
 その姿は98年夏の準決勝・明徳義塾戦の横浜・松坂(現レッドソックス)と重なる。連投で先発を回避した松坂は4―6の9回から登板。0点に抑えて味方のサヨナラ勝ちを呼び込んだ。「その試合はビデオで見たことがあります」と菊池。今大会3試合22回を投げていまだ無失点。通算30奪三振の左腕は“怪物襲名”を聖地に印象づけた。
 4強には同じくゼロ行進を続ける清峰・今村がいる。「今村君は同じタイプだと思うので意識しています」。菊池は決勝の大舞台でしか実現しない“怪腕対決”を見据える。岩手勢として84年の大船渡以来25年ぶりの4強入りも「ベスト4に並ぶためにここに来た訳じゃない。日本一になるために来た」。東北勢初の甲子園優勝はすぐそこにある。152キロ腕はもうマウンドを譲る気はない。

 ≪南陽工 人生初被弾浴び岩本「パニック」≫7回1死二塁で同点2ランを浴びた南陽工2年生エース岩本は「人生で初めて打たれたホームランだった。パニックになった」。動揺は隠せずなお2死一塁から勝ち越しの左越え二塁打を浴び、7回4失点でマウンドを降りた。28日の2回戦でPL学園相手に延長10回、169球を投げ抜いた。「疲れはなかった」と言いながら「真っすぐの制球がPL戦の時とは違った」。元広島の津田を擁した78年の8強超えはならなかったが岩本は「打たれて勉強になった。この体験を無駄にしないようにしたい」と話した。

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2009年4月1日のニュース