利府21世紀枠2校目4強!菊池討ちで決勝だ

[ 2009年4月1日 06:00 ]

<早実・利府>最後の打者を打ち取った利府・塚本(右)は、飛び上がりこん身のガッツポーズを見せる

 【利府5―4早実】みちのく旋風が止まらない――。第81回センバツ高校野球大会第10日は31日、甲子園球場で準々決勝2試合が行われた。第2試合では21世紀枠で出場した利府が古豪・早実に逆転勝ち。春夏通じて初の甲子園で堂々の4強入りを決めた。第1試合でも初出場の花巻東が逆転勝ち。東北勢2校の4強入りはセンバツ史上初の快挙となった。両校は1日の準決勝で対戦。いずれかが決勝へ進むことになり、01年の宮城・仙台育英以来8年ぶりに東北勢の決勝進出が決まった。

【試合結果


 この強さは本物だ。習志野に続いて早実も撃破。初出場の利府が高校球界を代表する古豪、名門を続けざまに倒して4強入りだ。
 「甲子園でこんなに試合ができてうれしいです。チームはもちろん、学校にとっても大きな財産になると思います」。小原監督はお立ち台で顔を紅潮させた。
 躍進を象徴するシーンは2点を追う5回。1死二、三塁から遠藤が左翼線へ同点二塁打。勢いは止まらない。井上の2点勝ち越し打に桜田のスクイズ。強打あり、小技ありの打者11人の猛攻で一挙5点を挙げて逆転に成功。先制されても動じない。浮足立つことないプレーは常連校顔負けだ。
 県内には春夏通算38度の出場を誇る東北、同じく30度の仙台育英と私学2強の高い壁があった。県立校の利府は野球部の年間予算が46万円。2強に太刀打ちするため、採用したのが“一芸主義”だった。「1人1人の能力はかなわない。だから束になって戦うために一芸を奨励した」と穀田部長。層が厚くなれば代走や守備固めなど打つ手は広がる。5回、死球の加藤秀に代わって代走に50メートル6秒5の布施を起用。ソツのない走塁で反撃の口火となる1点目のホームを踏んだ。早めの仕掛けがビッグイニングを呼び込んだ。昨秋県大会の平均出場人数は13・5人。決勝では17人を起用する全員野球で仙台育英を下した。壁を乗り越えたナインに怖いものはない。大舞台での臆することないプレーに遠藤主将は「前は名前負けとかしたけど、今は名前じゃないと思えるようになった」と胸を張った。
 準決勝の相手は同じ“みちのく勢”の花巻東。最速152キロの菊池と同じ左腕の塚本は「僕には菊池君みたいな直球はない。きょうみたいな粘り強い投球をするだけ」と謙虚に話す。派手さはない。だが今の利府にはミラクルを起こすだけのパワーと勢いがある。

 ≪部員だけのミーティング≫前日はナインによる対戦校を侮辱したブログ問題が発覚。重苦しい雰囲気に包まれた昨夜の部員だけのミーティングは2時間にも及んだ。試合後、小原監督は最後まで笑顔を見せずに「いろんなことがあったので何とか勝ちたい、それだけでした」と神妙に話した。穀田部長も「嵐のような2日間でしたが、生徒たちは野球をやるしかないと集中したんじゃないでしょうか」と話した。

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2009年4月1日のニュース