阪神ファン見たか!涌井 気迫で虎止めた

[ 2008年6月13日 06:00 ]

<西・神>7回2死満塁、ピンチを切り抜けた涌井は珍しくガッツポーズ

 【西武6-3阪神】耐えた。勝った。虎を止めた。西武・涌井秀章投手(21)は12日、阪神戦で8回を6安打1失点の熱投。本人は不満の残る内容も、毎回のように訪れたピンチを気迫あふれる投球でしのぎ、価値ある今季6勝目を挙げた。負ければ“首位対決”4戦全敗となる危機をエースが救済。強い阪神の連勝を6で止め、パ・リーグ首位チームの面目を保った。

 8回1失点。好調阪神を相手に結果だけを見れば十分かもしれない。だが、涌井にとっては不満の残る内容だった。自ら切り出した第一声にすべてが集約されていた。

 「完封できたっすね。疲れもなかったし、球数も少なかった。8回にベンチに帰ってきたら監督が待っていたんで“あ~あ”と思いました」。3連敗で迎えたセ・パ首位対決。一矢報いる熱投も金本にソロを浴び、完投も逃した21歳エースは悔しさをあらわにした。

 「今考えれば失投」と振り返った1球は6回、金本に投じた133キロカットボールだ。右中間席上段へ運ばれ「もう少し低く、インコースに行っていれば二塁打だった」と振り返った。それ以外は粘り強く投げた。序盤から最速143キロの直球にフォークを多投。7回2死満塁、新井を迎えた場面では直球とフォークで2―1と追い込み、最後は129キロフォークで空振り三振。右手でグラブを激しく叩き、感情をむき出しにした。「ホームにもかかわらず、すごい阪神ファンがいたんで、甲子園で投げているつもりでやりました」。初登板の阪神戦で大歓声を力に変えた。

 ここ2戦は計10失点を喫し連敗。調整法も変えた。先発前日の11日、今季初めて登板間にブルペン入り。直球のみ21球を投げ込んだ。ここまでは昨年の星野ジャパンで巨人・上原から学んだブルペンに入らない調整法を実践していたが「勝負球が甘くなってきた。真っすぐだけでも調整しようとブルペン入りしました」と軌道修正。その効果もあり普段は勝負どころでしか見られない140キロ台の直球を連発。「今後の調整?その時によって考えます」と引き出しを一つ増やした。

 昨季17勝で最多勝に輝いた右腕もようやく6勝目。「これから早くカズさん(石井一)の7勝に追いつかないと。常にこういう投球ができれば」。まだ64試合目。涌井が真価を発揮する場面はこれからいくらでもある。

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2008年6月13日のニュース