“平成の鉄腕”大場が初登板無四球完封

[ 2008年3月24日 06:00 ]

<ソフトバンク・楽天>ファンの握手攻めに笑顔を見せる大場

 【ソフトバンク4―0楽天】“平成の鉄腕”が史上初の快投劇を演じた。ソフトバンクの大学・社会人ドラフト1巡目・大場翔太投手(22=東洋大)が23日の楽天戦に初登板初先発し、無四球完封でプロ初勝利を飾った。新人投手の初登板完封勝利はプロ野球28人目(パ10人目)。無四球での初登板完封は3人目で、開幕カードでは初の快挙。黄金ルーキーがチームに開幕3連勝をもたらした。

 無我夢中だった。9回2死一塁、高須への初球。この日133球目の121キロスライダーで投ゴロに仕留め、自ら打球を処理した。冷静に見えたが、大場はこう振り返った。「最後の球は直球でしたっけ。カウントは2―0だったですよね」。極限の緊張感を集中力で克服して投げ切った。
 「ピンチになったら、きょう一番いいボール(直球)を投げようと思っていた」。オープン戦を上回る最速150キロをマークするなど直球は走っていた。その武器を最大限に使った。3回1死二、三塁では鉄平を145キロ直球で見逃し三振、続く草野も直球で中飛。7回2死満塁も渡辺直を右飛。得点圏に走者を許した場面を力で抑え込むと右拳を突き上げた。
 オープン戦は3試合に登板し13回2/3で20安打14失点の防御率9・22。周囲の不安をよそに、開幕前の1週間はあえて原点に返った。東洋大時代のビデオとオープン戦のビデオを見比べてフォームを再チェック。体重移動、リリースポイントなど1つ1つを修正した。
 調整法も変えた。オープン戦の登板前日は首脳陣の指示で投球数を30球台に制限してきた。だが大学時代から球数を投げ込んで調整してきた大場は、当時の調整法に戻したいと直訴。22日の71球を含め、デビュー戦前に3日間連続で計207球を投げ込んだ。さらに寮では窓ガラスに自分の姿を映しながらシャドーピッチング。1月3日の初投げでいきなり170球、春季キャンプでチーム最多1472球を投げたルーキーが独自の“鉄腕調整法”で復活した。
 新人投手の初登板無四球完封は88年の野村弘樹(大洋)以来20年ぶり3人目。パ・リーグでの達成、開幕カードではともに史上初の快挙だ。王監督も「凄いね。びっくりした。(6球団が競合したドラフトで)引き当てた時の興奮を思い出したよ」と目を丸くした。
 「ほっとしました。監督やコーチ、応援してくれた人たちのためにも、期待に応えたかった」。昨秋の明治神宮大会で3連投を演じ、決勝で早大・斎藤に投げ勝った“平成の鉄腕”が最高の形でプロ第一歩を踏み出した。

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2008年3月24日のニュース