履正社 まさかのタナボタサヨナラ勝ち

[ 2008年3月24日 06:00 ]

<履正社・下関商>延長10回裏(履)2死二塁、仮谷の飛球を落とす下関商・竹野内

 第80回選抜高校野球大会は23日、1回戦の残り1試合と2回戦3試合を行った。第2試合では履正社(大阪)が今大会初の延長戦となった10回2死二塁から、平凡な中飛を中堅手が落球する間にサヨナラ勝ち。甲子園初勝利を飾った。また、初出場の聖望学園(埼玉)は大塚椋司投手(3年)が7安打完封と好投。同じく初出場の鹿児島工(鹿児島)、明徳義塾(高知)がそれぞれ勝ち上がった。24日は2回戦3試合が行われる。

 【履正社3―2下関商】誰もが延長11回突入と思ったその瞬間、中堅・竹野内のグラブからこぼれた白球は芝生の上に転がった。悲鳴と歓声が交錯する中、二塁走者の元岡が慌ててスピードを上げて本塁を駆け抜ける。サヨナラ勝ち。履正社の甲子園初白星は思いも寄らぬ形で転がり込んだ。
 飛球を放った仮谷は落球を見た瞬間「ヨッシャーと思った」。そう力強く話す横で岡田監督は「野球は本当に怖い。甲子園で勝つのはこんなにも難しいものか」と春夏通じて3度目の挑戦で挙げた記念の1勝に苦笑いだ。
 快勝ムードが漂った9回、エース三村が2本のソロを被弾して延長戦に突入した。制球に苦しみながら、100キロを切るカーブと120キロ台後半の直球で167球を投げ抜いた左腕は劇的勝利にも「甲子園の魔物を実感しました。2点もらって勝ちを意識しました。みんなに申し訳なかった」。試合後は勝利の喜びと自分へのふがいなさで涙を流した。
 過去2度の甲子園は接戦の末に初戦敗退。強打が伝統の同校だが、一昨年センバツで横浜相手に0―1で敗れて1点の重みをより感じるようになった。「サヨナラの走者も犠打で二塁に進めたからこそ、還って来られた」と岡田監督。この試合も5つのバントを決め、そのうち3つを得点に結びつけた。
 三村は「きょうのことは反省して次は自分がチームに恩返しをしたい」。勝利の女神に気に入られた履正社ナインが、勢いに乗って頂点を狙う。

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2008年3月24日のニュース