松井「左翼」を“打ち”取ったり~

[ 2008年3月19日 06:00 ]

<ヤンキース・レッドソックス>1回裏2死満塁、松井は2点二塁打を放つ

 ヤンキースの松井秀喜外野手(33)が17日(日本時間18日)フロリダ州タンパで、今季初対決となった宿敵レッドソックスとのオープン戦に6番・DHで出場し、3安打3打点と大活躍した。走塁では二塁から単打で生還し、初の内野安打も記録するなど手術した右ひざは順調な回復。ジョー・ジラルディ監督(43)は前言撤回し、松井に左翼のレギュラーとしてシーズンでも多く守備に就かせることを明言した。

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 チャンスに強い、松井の代名詞がよみがえったようだった。初回、昨年打率が・118まで落ち込んだ満塁機に、左翼線へ先制2点二塁打。続く2回も中前適時打で連続打点を挙げた。4回の第3打席には投手のグラブをはじく内野安打で今オープン戦初の“猛打賞”。3打点に表情は緩んだが、それ以上に得た収穫は大きかった。
 「打撃の対応は少しずつ良くなっている気がする。走塁も小さな前進かもしれないけど、新たなことができたのはよかった」。打撃に加えて強調したのが走塁面。初回は二塁から単打で一気に生還した。4回の内野安打も右ひざ出術後は初めて。「スピードは全盛期に比べればまだまだ。右ひざは100%じゃない」と完ぺきとはいえないが、松井の復活ロードが加速してきたのは確かだ。
 DHが“定位置”とみられていた松井だが、ジラルディ監督の評価も変わってきた。「彼には外野で多くプレーしてもらわなきゃ、困ることになる」と、左翼手が本線であると初めて明言。指揮官の言葉の裏にあるのは、これまで正左翼手と明言されてきたデーモンの不安定な守備だ。この日も3回に直射日光にひるみ、平凡な左飛を落球。6回にも鋭い打球を万歳し、左越え二塁打としてしまった。
 キャンプ地のレジェンズ・フィールドはヤンキースタジアムと同じ採光角度に設計されている。トーリ前監督が「ヤンキースタジアムで左翼を守らせたら松井がNo・1だ」と認めたように、左翼の守備力は背番号55に断然分がある。松井を左翼に固定できれば、デーモンは本職の中堅とDHで併用する考えだ。
 好調な理由は右ひざの回復だけではない。例年この時期は花粉症に悩まされるが「目がきついけど、まだ鼻にきていない。睡眠時間も確保できている」。例年鼻づまりなどで睡眠不足に陥ってきたが、予防注射や6年目で生まれつつある耐性で天敵を遮断している。
 レイズ戦の乱闘劇で中堅カブレラが3試合の出場停止処分を受けたため、31日のブルージェイズとの開幕戦(ニューヨーク)ではデーモンが中堅に回り、松井は左翼でのスタメンが確実視されている。しかし、5年間守った定位置を簡単に明け渡すわけにはいかない。左翼奪回へ、ゴジラのギアが激しく上がった。

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2008年3月19日のニュース