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“鉄球”になれる長友、駒野 怖くないデンマークの高さ

[ 2010年6月24日 15:25 ]

 デンマークの脅威と言えば、身長1メートル90前後の選手がズラリと並ぶ欧州でも屈指の「高さ」にある。小柄な選手の多い日本代表は、体格勝負では圧倒的に分が悪い。しかし、元日本代表監督のフィリップ・トルシエ氏は断言した。「デンマークの高さは怖くない」。相手の高さには“鉄球”のようなパワーと俊敏性で対処すれば、必ず1次リーグ突破の道は開けると太鼓判を押した。

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 デンマークの選手は確かに身長が高い。だが背が高いからと言ってパワーがあるわけではない。例えば、イングランドには身長が2メートルを超すFWクロウチという選手がいるが、パワーに欠ける。クロウチが思い切り、1枚の壁に突っ込んだとしよう。きっとバナナをぶつけたときと同じように壁はビクともしない。だが身長は1メートル70でも、体幹や筋力に優れたDF長友佑都が同じ壁にぶつかれば“鉄球”をぶつけたかように、ぶち壊すことができるはずだ。つまり壁に与えるパワーでは長友が上なのだ。

 デンマークの選手は、大半がクロウチのようなタイプだ。逆に日本には駒野、阿部、長谷部、岡崎…と“鉄球”のような選手が多い。パワーはデンマークよりも上と言っていい。1対1でもどんどんチャレンジすること。純粋に高さでは勝てなくても、体を当てるだけで“高さ”を封じることは可能だ。だから高さは怖くないのだ。

 技術的にはもともと日本に軍配が上がる。比較すれば、デンマーク=重くて遅い、日本=軽くて速いと分類できる。さらにデンマークの攻撃は、日本の守備にとって非常に読みやすい。まず6~8割が右サイドのMFロンメダールを軸に使ってくる。彼を使わないケースではハイボールを蹴って前線でボールを受けようとチャレンジする。そこでファウルを誘い、FKをFWベントナーに合わせるといったパターンばかり。単純だ。

 その点、日本はバリエーションに富んでいる。ポストプレーを得意とする本田圭佑、右のMF松井大輔を除けば、ほぼ全員がスペースでボールを受けようとするタイプだ。逆にデンマークにはそういう選手がいない。ロンメダールも本来は足元で受け、コントロールしてから攻撃するタイプだ。さらにベンチにも玉田圭司、岡崎慎司、森本貴幸、中村憲剛らスピーディーで優秀な人材が待つ。あえて弱点を挙げるならDF中沢佑二が出場停止になったり、闘莉王が負傷したりした場合、センターバックで仕事のできる選手がいないことだが、今のところ2人ともデンマーク戦には出場できるので心配なさそうだ。アドバンテージは、日本にある。

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2010年6月24日のニュース