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トルシエ氏 突破への鍵は「攻撃的な守備」と「重圧に勝つ心」

[ 2010年6月24日 15:23 ]

デンマーク戦での勝利を願って「ゴールのぼり」を手にするトルシエ氏

 岡田ジャパンがいよいよ運命のデンマーク戦に挑む。引き分け以上で2大会ぶりの決勝トーナメント進出が決まる大一番。02年日韓大会で日本を16強に導いたフィリップ・トルシエ氏(55=FC琉球総監督)はキーポイントに戦略と心構えを挙げた。

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 日本とデンマークの力関係は五分五分。私が第3戦のカギを挙げるとすれば、選手個人ではなく「戦略」だ。日本は勝ち点1でも決勝トーナメントに進める。つまり0―0でも良い。そう考えると守備的な試合運びを考えるだろう。それは仕方がないが、全体のポジションを低く下げては絶対にいけない。高いポジションを維持しながら、前に進む守備をする必要がある。ハーフウエー付近を保って、相手にスペースを与えない激しいプレッシャーをかけ続ける必要がある。

 序盤から攻撃を仕掛けるのは危険だ。そこでボールを奪われ、カウンターから失点してしまうのはもったいない。主導権はむしろデンマークに持たせていい。ただ、しっかりした守備をベースにしながらも、前線の3人はいつでもゴールを狙いに行くよ、という“姿勢”を与え続けること。仮に相手に奪われたら素早く自陣深く戻り、再び前に出る守備で全体を押し上げていく。その繰り返しが重要になる。

 もう1つ、とても大切な要素はメンタルだ。一人一人が勝利を信じ、高いモチベーションを維持すること。ミスをしても全員でカバー、修正すること、そしてミスを怖がらないこと。それができれば、チームは一丸となる。22日の南アフリカ―フランス戦(2―1)を見れば、その大切さは一目瞭(りょう)然だ。例え、能力に優れた選手が何人いても意欲のないチームはチームとして成り立たない。今回、フランス代表は本当にW杯に出場していたのか?(苦笑)寂しい限りだ。

 日本代表がデンマークに劣っている点があるとすれば経験値だ。02年日韓大会の1次リーグ、デンマークは第3戦でフランスと対戦した。勝った方が決勝トーナメントに進出できるシチュエーションで勝利したのはデンマーク(○2―0)だった。残念ながら、日本代表には修羅場の経験がない。ケガをしている犬はよくかみつくということを忘れてはいけない。日本はオランダ相手に100%の力をぶつけ、互角に戦ったが、それでも試合には負けた現実を見つめる必要がある。そして試合終盤に襲われるであろう、引き分けでも突破できるというプレッシャーに打ち勝つこと。5月30日のイングランド戦(●1―2)では先制点を生かせなかった。同じ失敗を繰り返してはいけない。

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2010年6月24日のニュース