漫画家ちばてつや氏 伊集院静氏を追悼「大往生といえるのではないか」交流秘話も明かす

[ 2023年11月25日 18:55 ]

昨年、ゴルフコンペで伊集院静さん(左)と一緒にプレーしたちばてつや氏(ちば氏の公式ブログから)
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 「あしたのジョー」などの漫画家ちばてつや氏(84)が、肝内胆管がんのため73歳で死去した小説家伊集院静(いじゅういん・しずか、本名西山忠来=にしやま・ただき)さんを悼んだ。伊集院さんの野球小説「スコアブック」で挿し絵を担当するなど親交があり、スポニチ本紙の取材に「まだ若いので、もったいないとも思うが、大往生といえるのではないか。冥福を祈ります」と語った。

 「スコアブック」は2009年発表。ちば氏の作画起用は、伊集院氏が熱望して実現したもので、ちば氏によると「伊集院さんじきじきに事務所に来て下さり“イラストを描いて下さい”と頼まれた」という。

 ちば氏は1990年代後半以降、心臓疾患や網膜剥離(はくり)を患うなどして漫画の長期連載を控えてきた。依頼があった当時は「体調があまり良くなかった頃」だというが「そうやって来てもらうと、断りにくいね」と熱意にほだされ執筆を引き受けたという。当時を振り返り「無頼な印象の人だけど、僕の知り合いの名前のキャラクターを登場させてくれたり、作品に入り込みやすいようにしてくれたんだと思う。細かな気遣いのある人だった」と懐かしんだ。

 伊集院氏は「少年時代からちば氏のファンで憧れの人」と公言。自身の小説にちば氏のイラストが添えられたことに「少年時代に待ち遠しさを持ってみつめた、ちば作品の世界が毅然として輝いている」と語っていた。

 湘南を舞台に、強い野球チームを作ろうと奮闘する少女と、ナインたちの物語。ちば氏も「葉山の海岸に行って取材して描いた」と入れ込んだ作品となった。
 漫画化や映画化の計画も持ち上がったが「僕の体力では漫画として描き続けるのは無理だった。未完成のまま終わることになったのが心残りです」と残念がった。

 伊集院さんは山口・防府高で甲子園を目指し、立大で野球に打ち込む青春時代を送った。一方のちばさんも草野球チーム「ホワイターズ」を持ち、今もDHで出場するなど野球好きで知られている。

 最後に会ったのは昨年行われたゴルフのコンペ。ちば氏は「(心臓手術の入院から)退院したばかりでフラフラしていた」というが、同組となった伊集院氏がしっかりサポート。「彼は“介護”するようにサポートしてくれて、とても元気だったんだけど、そんな彼が亡くなってしまうなんて…分からないものだね」と寂しそうに話した。

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