渡辺名人「2段ロケット」構え 藤井王将は珍しく逡巡の封じ手 名人戦第2局第1日は無風スタート

[ 2023年4月28日 05:15 ]

2手目を指す渡辺明名人(右)。左は藤井聡太王将(日本将棋連盟提供)
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 渡辺明名人(39)に藤井聡太王将(20)=竜王、王位、叡王、棋王、棋聖含む6冠=が挑む将棋の第81期名人戦(毎日新聞社、朝日新聞社主催)7番勝負は27日、静岡市の「浮月楼」で第2局第1日を行い、午後6時32分、先手の藤井が43手目を封じて指し掛けた。

 5、6日に東京都で行われた第1局は後手の藤井が先勝。いきなりのブレークで史上最年少6冠が史上最年少名人に向け好スタートを切った。約3週間ぶりの第2局は4連覇を狙う渡辺が藤井得意の角換わりを拒否して持久戦の様相。交換されなかった互いの角は同調するように最下段に引きこもってから前線へと飛び出す。かといって一触即発の好戦的な指し手までには至らなかった。渡辺が9筋に香と飛車で「2段ロケット」の構えを見せると、藤井も56分の考慮の末に1筋の歩を伸ばし、お互いが端攻めの構えを示す。両者とも微妙な間合いを保って無風のまま第1日が過ぎ去った。

 手番で封じ手時刻(午後6時30分)を迎えた藤井は正立会・青野照市九段(70)からの呼びかけに応じるまで約2分を費やした。珍しく何かを逡巡(しゅんじゅん)するようなそぶりを見せ、外していたマスクを装着するしぐさも連続的とは言えなかった。気になる筋を発見してしまったのかもしれない。

 盤上を離れるとアクセントだったのは午後3時の「おやつタイム」。示し合わせたかのように2人が注文したのは抹茶クリームを挟んだワッフル、名付けて「茶っふる」だった。昼食を含め、嗜好(しこう)の差異が如実に表れるはずのデザートで一致をみたのは何かの予兆か。

 各9時間持ちでの消費時間は藤井が4時間33分、渡辺が3時間37分。約1時間の差は藤井にとって十分想定内のはずだ。第2日はきょう28日午前9時に再開する。 (我満 晴朗)

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