藤井新棋聖 母から「良かったね」 将棋は「まだまだわからないことばかり」 初タイトル獲得から一夜

[ 2020年7月17日 10:31 ]

<棋聖戦戦一夜明け>一夜明け会見で探究と書いた色紙を手に笑顔を見せる藤井聡太棋聖(撮影・後藤 正志)
Photo By スポニチ

 藤井聡太新棋聖(17)が初のタイトル獲得から一夜明けた17日午前、大阪市の関西将棋会館で会見した。「探究」と書かれた自筆の色紙を披露し、終始、笑顔を見せていた。

 会見内容は以下の通り。

    ◇

 ――一夜明けて棋聖就任の感想を
 あ、はい。そうですね。まだ、棋聖獲得ということに関しては実感ないですが、これから徐々にそういう場面が増えていくんだと思います。今回、渡辺先生と5番勝負を戦えたということは自分にとっていい経験だったなと思います

 ――昨晩、宿舎に帰ってご家族に連絡は
 母に電話で連絡しました。喜んでもらえたのかなと思います。家族も結果は知っていると思うので、自分からは特に…。まあ、良かったねという風にいってもらいました。昨晩は午後11時30分に布団に入り、午前0時に寝て、今朝は午前6時に起きました。割と普段通りに寝られました。

 ――師匠の杉本昌隆八段とは
 師匠は昨日、会見にも同席していただいたんですけど、非常に喜んでいただけたと思っています。先日、竜王戦で師弟戦(決勝トーナメント進出をかけた6月20日のランキング戦3組決勝。結果は藤井勝利)があったんですけど…“竜王戦の方も頑張って欲しい”といわれました(笑い)

 ―色紙に「探究」という言葉を書いたが?
 この度、タイトルを獲得できましたが、将棋というのは本当に難しいゲームでまだまだわからないことばかりだなと思う。これからも探究心を持って盤上に向かっていきたいという思いを込めました

 ――藤井棋聖と呼ばれることに慣れそう?
 現状では慣れない感じがしますが(笑い)。これから徐々にタイトルホルダーとしての立ち振る舞いなどを勉強して行ければな、と思っています

 ――5人目の中学生棋士。これまで4人はタイトルを獲られていたが、そこに関してホッとした?
 そのことに関しては自分としては意識はしていなかった。過去に中学生棋士になられた方々は素晴らしい実績を残された方ばかりなので、そこに少しでも近づけたのは良かったなと思うし、これからも先輩方の姿勢を見て自分自身も成長できたらなと思っています

 ――タイトル挑戦を決めた時の会見ではデビューから4年目に関して「自分ではもうそんなにたったのかなという気もする」と言っていたが、現状は未来予想図に比べて早い?遅い?
 棋士になった段階でタイトルは当然目指していたが、なかなか遠いものでもあった。棋士になって3年半の経験で学んだのが今回の結果につながったのかな、と思います。

 ―もう一つ、タイトル挑戦中の王位戦では第3局から棋聖として臨みますが改めて意気込みを
 ここまで2局指して、木村一基王位の力強い指し手に苦しめられる場面も多かった。そのあたりを反省し、第3局以降、いい内容の将棋を指せるように頑張りたいと思っています

 ――今回の渡辺明2冠や羽生善治九段のような大棋士、格下、コンピューター、など相手が誰であっても、関係なく盤面に集中している印象がある。相手は関係ない?
 しかし、やっぱり将棋というものは盤上を通じてのコミュニケーションという一面もある。直接ではないが相手の指し手を見て、こういう手もあるのかなという発見もある。相手の対局者によっていろいろな発見もあると思います

 ――目標を一つ達成したが、どこが成長したところ?
 プロになってからトップ棋士の方々と対戦する機会を得て、自分の将棋の課題を見付けることができた。特に中盤の指し回しはデビュー当時に比べたら成長できたのかなと思います

 ――藤井棋聖のような棋士を目指している子どもたちにメッセージを
 自分としては、好きなことに夢中で取り組んできた。好きなことに全力で取り組むということを大切にして欲しいと思います

 ――まだまだ戦い続く中で、大勝負で大切にしたいことは
 今回の棋聖戦の渡辺先生だったり、王位戦でも木村先生と番勝負で戦えるのは貴重な機会。シリーズを通して成長したいという思いはあった

 ―今後どういう将棋を目指したい
 自分の将棋もまだまだ課題が多いかなというふうに思っているので、どのような局面であっても少しでも最善に近づけるような対応力を伸ばしていきたいなと思っています

続きを表示

2020年7月17日のニュース