復興へのプレーボール~陸前高田市・高田高校野球部の1年~

存続不能「奇跡の一本松」 悲しき枝の断面あらわに

[ 2011年12月14日 06:00 ]

切り口にはわずかな樹液も見られず、再生は不可能だ

 津波の被害にも耐え、景勝地・高田松原に1本だけ残った「奇跡の一本松」の枝の断面を本紙・高橋雄二カメラマンが撮影した。根が塩分を含んだ水を吸い込んだため、ほとんどが腐った状態。幹や枝まで水分や栄養分を運ぶことができなくなってしまったことが一目で分かる。存続は不可能と診断した仙台市在住の樹木医・田中秀穂氏は「この状態になると今後、害虫による被害が進む」と残念そうに語った。

 経過を観察してきた財団法人「日本緑化センター」は「根が塩分で腐り、枯死している」との報告書を陸前高田市に提出。13日に会見した戸羽太市長は「9カ月間、市民の支えだった」とした上で「例えば剥製状態にして、国に整備を打診中の“防災メモリアル公園”に置くなど象徴的なものとして残せたら」と提案。一方で「苗木も取り、子孫が残っている。新たなステップに入ったという気持ちの切り替えも必要」と話していた。

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