復興へのプレーボール~陸前高田市・高田高校野球部の1年~

早大で和田の同期 強力スタッフ・伊藤部長が加入

[ 2012年4月7日 06:00 ]

練習後、ナインに話をする伊藤貴樹新部長

 高田高校野球部に、強力なスタッフが加わった。4月1日付で同校に赴任した伊藤貴樹(たかき)野球部長(31)だ。秋田では主将を務め東北大会8強。早大では和田(オリオールズ)の同期で、外野手として3年春、4年秋にベストナインを獲得。4年時には副主将を務め春秋連覇に貢献した。

 5日の全体練習後、初めてナインと顔を合わせた。「野球というのはいろいろな見方や考え方がある。必ずしも私が言うことが合っているかは分からない。私も君たちから学びたいし、お互いに質問しながらやっていこう」と訓示した。

 大学卒業後、野球を続けるか悩んだ。それでも「ずっと野球に携われるのは指導者だと思った」と、教える側に回る道を選択した。カリフォルニア州立大ドミンゲスヒルズ校に1年間コーチ留学。明桜、大曲、盛岡一でコーチ、部長を歴任した。09年夏の岩手県大会決勝では菊池(西武)がいる花巻東に1―2で敗れたが、全国レベルの強豪を追い詰めた。

 アメリカでの1年間は貴重な経験だった。「向こうの学生は“やらされている”感じは一切ないんです。自分たちで考えて野球をやっていた。本当に勉強になりましたね」。帰国後は秋田経法大付(現明桜)で監督を務め、甲子園にも出場した父・護朗さん(65)から指導法について学んだ。佐々木明志(あきし)監督(48)は早大の先輩にあたる。「試合の流れを見ながら、できる限りサポートしていきたい」と、ともにベンチ入りする日を心待ちにしている。

 公民科教諭として、1年生の担任も務める。新天地では多忙な日々が待っているが、不安はない。「あの子たちには高い能力がありますけど、勝つためにはただ投げて打つだけではダメ。自分たちが考えながら野球をやれるように指導していきたい」。自らもかなわなかった夢の舞台、甲子園へ。奥村珠久子(しゅくこ)副部長(39)、伊藤新コーチ(40)らとともに佐々木監督を支え、父親に肩を並べることが目標だ。

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