ソフトバンク・小久保監督“信念の采配” 同点の9回にドラ5・沢柳が痛打浴びるも「次につなげればいい」

[ 2024年4月8日 06:00 ]

パ・リーグ   ソフトバンク2-3楽天 ( 2024年4月7日    楽天モバイル )

<楽・ソ>9回に登板した沢柳(撮影・篠原岳夫)
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 ソフトバンクの小久保裕紀監督(52)が7日、楽天戦で“信念の采配”を貫いた。2―2の9回、5番手に抜てきしたドラフト5位ルーキー・沢柳亮太郎投手(24)が、1死二塁から楽天・鈴木大地内野手(34)にサヨナラ打を浴びた。ただ、この日、藤井皓哉投手(27)が不調で出場選手登録を抹消され、新たな方程式の一角と期待し、試した大胆継投。連勝は3で止まったが、143試合を見据えた戦い方だった。

 試合後の小久保監督はプロ初黒星がついたルーキーに力強く言葉をかけた。「沢柳は悔しい思いを次につなげればいいだけ。敗戦の責任は何にも背負わなくていい。俺が守っていたら“こんな展開は野手のせいだから、打たれることは気にせずに拓也(甲斐)のミットに目がけて投げろ”と言うだけなので」

 2―2の9回、5番手として送り出したのが沢柳だった。プロ初登板の4日ロッテ戦(ペイペイドーム)は1イニングを完璧に抑える快投をみせていた。しかし、この日は悔しいマウンドだ。先頭の浅村に四球を与え、1死二塁から鈴木大にサヨナラの二塁打を浴びた。

 もちろん、沢柳は責められない。試合展開的には打線が11安打を放ちながら、あと1本が出ず2得点に終わっていた。ビジターだけに守護神オスナはリードしてから送り出すことが大前提。このような展開では通常、経験豊富な又吉や杉山を先に投げさせるのがセオリーだが、小久保監督は沢柳を選んだ理由について「期待」と言い切った。長いペナントレースを見据えた揺るぎない選択だった。

 倉野投手コーチは「今の(高い)評価もあります。それにああいう場面を抑えると凄く成長につながる。負けはしたが、彼にとってはいい経験になったかなと思う」。今後も期待のリリーフとして変わらず起用していくことを明言した。

 指揮官からしても信念通りの継投だろう。かねて「目先の1勝も大事だが年間を通して優勝するのが大きな目標」「ゲームプランから外れる選手起用はしないと決めている」などと話してきた。若手の起用方針について支配下昇格した元育成の3選手を例に挙げ「初めての緊張する場面だったり、最初は失敗が起こるかもしれないが、そこで送り出せるかどうかは僕の腹次第ですので。そういうところでおじけづかない自分でいるということ」とも口にしている。

 この日、藤井が出場選手登録を抹消された。沢柳が場数を踏んで成長していけばチームにとっての大きなプラスとなる。右腕も「しびれる場面で投げさせてもらえてありがたかった。これがいい経験になったと言えるように努力していきたい」と前を向いた。

 4年ぶりのV奪回へ。苦しい時も訪れるはずだが新指揮官が信念の采配を続けていく。 (木下 大一)

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