泥くさくV撃 巨人・坂本に生き続ける「キムタク魂」

[ 2024年4月8日 05:23 ]

セ・リーグ   巨人3―0DeNA ( 2024年4月7日    東京D )

<巨・D>初回、坂本に先制となる2点適時打を許す大貫(撮影・大城 有生希)
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 「キムタク魂」の決勝打だ。巨人・坂本勇人内野手(35)が7日、DeNA戦の初回に決勝打となる左前2点打を放った。この日は内野守備走塁コーチを務めていた、10年に亡くなった木村拓也さん(享年37)の命日。現メンバーで唯一、現役時代をともにしたベテランの一打で、最下位転落と同一カード3連敗を阻止した。

 外角に逃げるスライダーに、坂本は必死に腕を伸ばした。不格好なフォームだが打球を左前まで運んだ。初回2死二、三塁から、先制の左前2点打。「先制点が取れて素直にうれしいです」と短い言葉だったが、連敗を止める決勝打にベンチに向かって小さく握り拳を向けた。

 前日は4回の悪送球が失点につながるなど、チームはミスが重なり連敗を喫していた。試合前の円陣では声出し役を務めナインを鼓舞。「気持ちだけでは結果が出ないことが多々ある世界ですけれど、気持ちがない選手は長く活躍はできないと思う。若い選手もベテランもそういう気持ちをもう一回思い出して、1年間、同じ方向向いて、今日から仕切り直していきましょう」と語りかけた。

 この日は14年前に37歳の若さで亡くなった木村拓也さんの命日。プロ1年目から守備の助言をもらい、遊撃のレギュラーをつかんだ2年目の08年は何度も二遊間を組むなど3年間、同じユニホームでプレーした。「本当にいろんなことを教わった」と感謝する恩人。その木村さんのように気持ちを前面に出すプレーで、ナインを引っ張った。

 負ければ最下位転落の可能性もあったチームの危機を救う一打。坂本は前夜のミスの直後も、走者として本塁へヘッドスライディングを見せるなど気迫を見せていた。阿部監督も「昨日もミスしても必死に取り返そうとしている姿を僕は見ているので、さすがだなと。そういうのが今日のヒットになったんじゃないか」と称えた。

 かつての先輩に届けた天国への白星。試合後、取材対応がなかった坂本に代わり、指揮官は「若い選手が何かを感じてほしい」と立場の変わった背番号6の姿が頼もしそうだった。 (青森 正宣)

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