阪神・村上、球宴ファン投票選出御礼の零封熱投!“三度目の正直”で甲子園初勝利「忘れない1勝になった」

[ 2023年6月30日 05:15 ]

セ・リーグ   阪神8ー0中日 ( 2023年6月29日    甲子園 )

<神・中> 7回のピンチをしのぎ笑顔の村上(右)(撮影・大森 寛明)
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 球宴選出御礼の快投だ。阪神・村上頌樹投手(25)が29日の中日戦で7回5安打無失点。5月30日西武戦以来の今季6勝目は、甲子園プロ通算3登板目での初勝利となった。00年以降の球宴ファン投票では初めてノミネート外から1位選出された右腕の奮闘により、チームは連続カード負け越しを5でストップ。2年ぶりにリーグ40勝一番乗りを果たし、2位・DeNAとのゲーム差を1・5に広げた。

 7回2死満塁、フルカウント。甲子園は村上を励ます大きな拍手に包まれた。「凄かった。相手の応援より大きかったので。力になった」。この日最後の一球、100球目にして最速タイの149キロ直球で、後藤を二ゴロ。力強く拳を握った背番号41が、ついに聖地初勝利をつかんだ。

 「やっと甲子園で勝利できてよかった。忘れない1勝になった」

 過去の甲子園2試合では防御率1・20ながら援護点0。この日は初回から援護を受けてリズムに乗った。「先制点もらって(リードが)5点になってと、ずっと投げやすくしてもらった」。2点目の適時打を放った智弁学園の後輩・前川とは、試合中に軽快なやりとりを交わしていた。

 村上「もうちょい打てよ」

 前川「1本出たんでいいじゃないですか。あの2点目、大きいですよ」

 高3春は優勝投手、夏は2回戦敗退と酸いも甘いも知った甲子園。ついにプロで味わった勝利は格別だった。

 「(ここまで)長かったですね。本当に高校時代とは違った雰囲気。今は楽しく野球できています」

 躍進を続ける右腕にさらなる刺激を与えたのが、いずれも8イニングを消化しながら則本(楽天)、山本(オリックス)に投げ負けた交流戦だった。「ピッチングを見られてよかった。横から見ていて凄いな…と思いながら。バッターを簡単に打ち取っているのが、やっぱり見ていて勉強になる」。ベンチ横、そして打席でも日本屈指の剛球を目の当たりにして得た学びは、同僚の凄さを改めて感じるきっかけにもなった。

 「いろんな人の打席に立たせてもらって、改めて(見た)才木の球は凄いなと。キャッチボールしていて、本当に伸びてくる。怖い。死にたくない…と思うぐらい」

 その才木の直球被打率・187に対し、村上は両リーグの規定投球回到達者の中で最も低い・165。同学年、右投げ、兵庫県出身と共通点の重なる好敵手と切磋琢磨(せっさたくま)しながら築き上げた6勝目だ。お立ち台では球宴ファン投票1位を受けて「ノミネート外からで、皆さんに手間をかけていただいて投票していただいた。ありがとうございます」と感謝の言葉を口にした。「残り2試合(の先発で)、連勝したいと思っていますし、いい形で前半戦終われるように」。夢舞台へ弾みをつける快投に、聖地は酔いしれた。(阪井 日向)

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