【スポニチスカウト部(6)】鹿児島城西・明瀬諒介 広角の長打力で“伝説”プロでも

[ 2023年3月14日 17:00 ]

元プロの指導を希望し、佐々木誠監督が指揮する鹿児島城西を選んだ(撮影・柳内 遼平)
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 今秋のドラフト候補となる選手にスポットを当てる「スポニチスカウト部」。アマチュア担当記者の独自目線による能力分析とともに、選手たちの素顔を紹介する。第6回は鹿児島城西の二刀流スラッガー・明瀬(みょうせ)諒介内野手(2年)。プロ球団のスカウト幹部が相次いで練習視察に訪れる「九州の怪物」の現在地に迫る。 ドラフト速報

 鹿児島城西には「明瀬伝説」がある。両翼100メートルの練習場。左翼フェンスのさらに5メートル後方に高さ5メートルの簡易フェンスがある。右の長距離砲は、木製バットを使ってそれを軽々と越えてみせる。左翼後方に青々と茂る林をかき分けて進むと、明瀬が放り込んだボールが無数に転がっている。「九州の怪物」にとって野球場は狭すぎるのかもしれない。

 「自分の武器は飛距離。でも、もっとコンタクト率を上げていきたいと思います。まだ夏の大会があるのでプロは気にしていません。まずは夏の甲子園目指してやっています」

 堺市出身。プロ入りをかなえるため、最短距離の思考を持っていた。中学時代にプレーした大阪狭山リトルシニアでは元近鉄の小川亨監督、鹿児島城西ではダイエー、西武などで通算1599安打をマークした佐々木誠監督から指導を受ける。進路を決める基準は常に「プロに教えてもらいたい」と一貫していた。佐々木監督からは「逆方向にも引っ張れ」と広角に長打を放つための「秘けつ」を授かり、長打力が開花。甲子園未出場だが今年に入り、2球団のスカウト部長が視察に訪れる逸材だ。

 打つだけではなく、投げても凄い。しなやかに腕をしならせるフォームから繰り出す直球の最速は144キロ。スカウトからは野手として評価を受けているが、二刀流で体の使い方のセンス、身体能力を実証。さらに最近は遠投110メートルの強肩を存分に生かせる遊撃手、三塁手のポジションでもノックを受ける。本来は一塁手だが、自ら“コンバート”を志願し「ショートは足の使い方を学べる。サードは上を目指す時に守れた方が良い」とレベルアップに余念がない。

 全国的な知名度はまだまだだが、将来は同じ九州出身の村上(ヤクルト)のように、日本を代表する選手になる可能性を秘めている。(柳内 遼平)

 ≪花巻東・麟太郎、広陵・真鍋ら…今年は超豊作年≫高校、大学、社会人、全てのカテゴリーに逸材がひしめき「超豊作年」と呼ばれる23年のドラフト戦線。高校生スラッガーでは花巻東(岩手)の佐々木麟太郎が西武、日本ハムがドラフト1位候補にリストアップされるなどNo・1の評価を得ている。長打力においては広陵(広島)の真鍋慧も負けていない。出場する今春選抜で、さらに評価を上げることができるか注目だ。明瀬と同じ九州地区では九州国際大付(福岡)の佐倉(人ベンに峡の旧字体のツクリ)史朗もいる。左の強打者で力だけではなく広角にはじき返す「技」も併せ持つ。明瀬は最後の夏に初の甲子園出場を果たせるか。大舞台での活躍も評価を上げる鍵になる。

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