優しさと厳しさ併せ持つ広島・新井新監督に任せた! 「家族」とともに再建&次世代育成の命題へ

[ 2022年10月8日 05:00 ]

2018年のセ・リーグ、クライマックスシリーズファイナルステージを勝ち上がり、記念撮影をする(左から)丸佳浩、会沢翼、田中広輔、菊池涼介、新井貴浩、野間峻祥、鈴木誠也(撮影・坂田 高浩)

 広島は7日、球団OBの新井貴浩氏(45=本紙評論家)が新監督に就任すると発表した。今季限りで退任した佐々岡真司監督(55)の後任として球団から要請を受け、6日までに受諾。近日中に正式契約を結び、12日に就任会見を開く。松田元オーナー(71)は、チームの再建と次世代育成に期待を寄せた。

 球団から「新井新監督」就任が正式に発表された。新井氏が、現役時代に「家族」と表現した元同僚たちと、赤ヘル再建を目指す。その双肩に未来を託した松田オーナーは「仲間のリーダーという感覚でやってほしい。厳しさも出してくれると思うし、チームを鼓舞してほしい」と激励した。時に中心選手に厳しく接し、若手には寄り添える――。現役時代と変わらないような姿を期待している。

 同氏が現場を離れたのは19年からの4年間のみとあって、同オーナーは「仲間がいるのでゼロからではない」とうなずく。コーチを経験することなく、45歳の若さで指揮官に就任。そこには一長一短あるかもしれないが、すでにナインと信頼関係を構築できている点では、メリットが大きいと言える。

 指揮官に必要な「厳しさ」も兼ね備えているとみる。「(新井氏は)優しいが、明確に(意見が)言える」と評価するように、率直な意見を伝えられるからこそ、人望が厚い。16~18年のリーグ3連覇時に主力だった選手たちは今やベテランから中堅の域に入っている。30代の会沢、菊池涼、大瀬良らは今季、コンディションが整わずに苦しむ時期もあった。持ち合わせる厳しさで彼らに奮起を促す働きも見込んでいる。

 加えて、期待が大きいからこそ、難題も与える。「チームの再建に加え、若返りという命題もある」。リーグ3連覇以降、4年連続Bクラス。坂倉、小園が定位置をつかんだとはいえ、若手の台頭の乏しさが低迷の一因となった。「自分がした練習量を若い子に要求してほしい」。同氏はドラフト6位入団から誰もが認める練習量ではい上がり、2000安打を達成。伝統の猛練習を若手に伝える役割も求めるところだ。

 新井氏は本紙取材に「詳しいことは会見でお話しさせてもらいますが、今はただ、身が引き締まる思いです」とコメントした。松田オーナーは「目指すものは優勝。ベテランに力を発揮してもらえれば(優勝を狙える)」と言い切った。ベテランから若手まで、「家族」全員の力を融合させた先に、新たな黄金期が待っている。(河合 洋介)

 ◇新井 貴浩(あらい・たかひろ)1977年(昭52)1月30日生まれ、広島県出身の45歳。広島工、駒大を経て98年ドラフト6位で広島入団。08年にFAで阪神移籍。15年から広島に復帰。リーグ3連覇を果たした18年限りで引退した。05年本塁打王、11年打点王。16年セ・リーグMVP。08年12月から12年12月まで労組日本プロ野球選手会の第7代会長を務めた。引退後は19年からスポニチ評論家。右投げ右打ち。

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2022年10月8日のニュース