エンゼルス大谷 キング打法!キャンプインいきなり140メートル弾、2本届かなかった本塁打王へ号砲8発

[ 2022年3月16日 02:30 ]

打撃練習をする大谷(撮影・光山 貴大)
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 大リーグは14日(日本時間15日)、約1カ月遅れでアリゾナ、フロリダ両州でキャンプインした。昨季ア・リーグMVPに輝いたエンゼルスの大谷翔平投手(27)は、屋外フリー打撃で推定飛距離140メートルの特大弾を含む8本の柵越え。これまでよりバットの先端が投手方向に向き、左肘をさらに高く掲げた新打撃フォームを披露した。メジャー5年目の変化を、大谷番9年目の柳原直之記者(36)が分析した。

 試合以外で大谷の打撃を見るのは昨夏の球宴前日に行われた本塁打競争以来。昨季開幕戦の4月1日を最後に、肉体的負担を減らすなどの理由で、屋外フリー打撃を封印していたためだ。久々の機会を楽しみに43スイングを凝視。打球の鋭さが増した印象を受けると同時に、フォームに昨季との違いを感じた。

 構えてからテークバックを取る際、これまでよりもバットの先端を投手方向に向け、そこから一気に振り抜いていた。ボールに当たるまでのバットの軌道が長くなる分、速球に差し込まれやすいリスクはある。その一方、「ひねり」と「ため」の動作が生まれることで、より強いスイングにつながる。速球に振り遅れないようにヘッドを捕手方向に寝かせて打つアプローチもあるが、その真逆だ。

 さらに、メジャー歴代最多の762本塁打を誇るバリー・ボンズ(元ジャイアンツ)ら大リーガーに多い、左脇を空けて肘を高く上げる「フライングエルボー」と呼ばれる構えは、昨季よりもトップの位置がやや高くなった。これまで以上にテークバックを大きく使え、最後に左手でバットを強く押し込むことが可能となる。

 ジョー・マドン監督らも見守る中、大谷は最初の14スイングは全て中堅から左方向に流し打った。アリゾナの雲一つない青空と強い日差しが重なったようで「めっちゃ(球が)見にくい、やばい。何でみんな見えてんの?全然、見えない」と苦笑い。しかし、打球は徐々に鋭さを増した。圧巻は4セット目の最終スイング。本塁から422フィート(約129メートル)の距離にあるバックスクリーン右横をライナー性の弾道で通過した。推定飛距離140メートルの特大弾。その後もバックスクリーン直撃弾など、力強い打球を飛ばし続けた。

 かねて重視するのは「構え」や「見え方」。今回も、その中でのマイナーチェンジの一環とみる。昨季は引っ張りの打球が目立った大谷だが、練習で逆方向から打ち始めるスタイルは不変。最終6セット目は全て右方向に引っ張った。

 46本塁打を放った21年はわずか2本差でキングの座を逃し「もっともっと高くいけると思っている」と振り返った。さらなる進化に向け、明確なテーマが見えた初日だった。

 ≪黒バンドつけキャッチボール≫大谷は昨季同様、練習しながらさまざまなデータを計測した。約30メートルの距離で投げたキャッチボールでは「パルス」と呼ばれる黒いバンドを右肘に巻き、肘にかかる負荷などをチェック。フリー打撃では測定機器「ブラストモーション」をグリップエンドに装着し、スイングスピードなどを測定した。また、短距離ダッシュはリードを取ってから行うなど、実戦に即した形で励んだ。

 【大谷の主なフォーム変遷】
 ☆フライングエルボー 日本ハム時代の3年目の15年から採用。従来に比べ左脇を大きく空け、バットを握った左手から左肘のラインが地面と水平に。左肘に「自由」があるためテークバックを大きく使える。

 ☆ノーステップ メジャー1年目(18年)の開幕直前から採用。右足を上げず、内側に少しひねる形。メジャーの投手はテークバックがコンパクトで、日本の投手のように投球モーションに「間」がない投手が多いことへの対応。

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2022年3月16日のニュース