槙原寛己氏 史上初の開幕投手から13連勝、菅野の「凄み」 3つの要因を分析

[ 2020年10月6日 21:22 ]

セ・リーグ   巨人6―4DeNA ( 2020年10月6日    東京D )

<巨・D>開幕13連勝、通算100勝を達成した菅野(撮影・森沢裕)
Photo By スポニチ

 開幕投手では、プロ野球新記録となる開幕13連勝を達成した巨人・菅野。圧倒的ともいえる今季の投球の「凄み」の源泉はどこにあるのか。スポニチ本紙評論家の槙原寛己氏(57)が「3つの要因」を分析した。

 × × ×

 (1)新フォームの効果
 腕から始動するフォームに変えたことで、軸足である右足にグッと体重が乗りやすくなり、よりボールに力が伝わるようになった。上体が前に突っ込まず、変化球も抜けるボールが劇的に減った。直球ともども、昨季より球速がアップしているのも効果の表れだ。

 実際にフォームを変えただけでなく、あれだけの実績を持ちながら「何かを変えよう。チャレンジしよう」との意識こそが勝者のメンタリティーだ。非常に勇気のいるアプローチ。投手も年齢とともに可動域が変わり、自然とフォームはマイナーチェンジする。菅野は強い意志で新しい自分をつくり上げた。

 (2)フォークで生まれた立体感
 新フォームの効果が表れた球種の一つが、フォークだ。上体がホームベース側に突っ込んでしまっては腕が振れず、落ちが鈍る。菅野も状態が悪いときは体が流れる傾向があり、フォークも見極められるケースがあった。今季は軸足に体重が乗りやすい新フォームで、鋭い縦の変化が生まれている。コースの高低で三振を奪えるようになった。

 今までは右打者なら内角にツーシーム、外角にスライダーと横幅を使った左右の配球だった。ここに高低が加わり、さらなる立体感が生まれた。低めを意識させれば高めの直球も効果的に。縦横無尽の投球となる。

 (3)コロナ禍、交流戦なし…。外的要因をプラスに
 コロナ禍による異例のシーズン。菅野は様々な要因をプラスに変えている。昨季は腰痛などに苦しんだコンディションの維持。外食などが自由にできない環境で体のケアに時間とお金を存分に掛けているはず。野球に割く時間が増え、今まで以上に野球中心の生活に。それが試合終盤でも球速が落ちないなど体力的な充実ぶりにもつながっていると思う。

 今季は交流戦や地方球場の開催もない。イレギュラーな要素が減り、慣れ親しんだ球場で同じルーティン、同じコンディションで臨むことが可能になった。中6日で火曜日に。それが13連勝を生み出すリズムともなった。

続きを表示

2020年10月6日のニュース