脳腫瘍乗り越えた“同志”へ元阪神・横田氏がエール「誰かのために…僕も同じ」

[ 2020年10月6日 12:26 ]

横田慎太郎氏
Photo By スポニチ

 脳腫瘍の闘病を経て、昨季限りで現役を引退した元阪神タイガースの横田慎太郎氏(25)が、同じ病気を克服し奮闘するアマチュア選手にエールを送った。四国銀行で主将を務める柴田一路外野手(25)は、昨年12月に勤務先で倒れて脳腫瘍と診断。今年5月、9時間の手術を受けながら約3カ月後には実戦復帰し今月4日の都市対抗野球四国2次予選を勝ち抜き本戦出場を決めた。横田氏は、活躍を伝える記事を見て同選手の存在を知り「キャプテンでチームを離れるのは辛かったと思いますが、3カ月で帰ってきてすごい回復力。気持ちで病気に勝ったんだと思います」と称えた。

 柴田選手は術後、1カ月間、言葉を発することができなかった。自身も計2回、18時間に及んだ術後は視力、記憶力が一時的に消失し「僕もさっき食べた食事が思い出せなかったり、自分もそういう経験はあった」と振り返った。そして、強く共感したのは「誰かのために」を胸に刻みプレーを続けたことだ。横田氏は入院期間中から懸命に自身をサポートしてくれた両親をはじめとした家族のために、1軍での復帰を目標に据えて苦しいリハビリに打ち込んだ。

 「柴田さんも病気になって“誰かのために頑張ることに気づけた”と書いてあった。(当時は)自分も同じ考えでした。病気になると気持ちも変わるし、誰かのためにやる、というのは僕も同じでした」。結局、1軍でのプレーこそ叶わなかったが、引退試合では“奇跡のバックホーム”で恩返しができた。脳腫瘍という大きな壁に立ち向かい、前進を続けた先に得たものは少なくなかった。

 「記事には“病気になったことは前向きに受け止めた”という言葉もありましたが、心が強くないとそんなことは言えない。もっと活躍して欲しいですし、影ながら応援してます」。面識はなくても“同志”として今もグラウンドに立つ柴田選手に送った言葉は力強かった。(遠藤 礼)

続きを表示

2020年10月6日のニュース