【バスケW杯】これが日本だ!“ホーバスマジック”開いたパリの扉「みんな信じた」

[ 2023年9月3日 05:27 ]

バスケットボール男子W杯順位決定リーグO組   日本80ー71カボベルデ ( 2023年9月2日    沖縄アリーナ )

渡辺雄太と喜びを分かち合うトム・ホーバス監督(右/ロイター)

 日本勢団体球技の第1号でパリを決めた!順位決定リーグO組最終戦で世界ランク36位の日本は同64位のカボベルデに80―71で競り勝ち、3勝2敗とした。アジア最上位が確定し、2大会連続8度目の五輪出場を獲得。開催国枠ではない自力出場は76年モントリオール五輪以来48年ぶりの快挙となった。司令塔の河村勇輝(22=横浜BC)、シューターの富永啓生(22=ネブラスカ大)の22歳コンビが躍動。“沖縄の歓喜”の立役者となり、日本バスケ界の新時代が幕を開けた。 

 東京五輪で女子日本代表を銀メダル獲得の快挙に導いたトム・ホーバス監督(56)が、今度は男子日本代表を率い、48年ぶりとなる自力での五輪出場権獲得の歓喜へと導いた。ベンチでは熱く強く鼓舞し続けた名将は、勝利が決まると表情を崩し、全選手、スタッフと固く抱擁。厳しく鍛え、期待に応えた教え子たちに目を細めた。

 「いやー、決まった。あの第4クオーターが大変だった。でも選手たちがよく我慢した。最後まで最後まで我慢した。みんなが目標を決めて、みんな信じた。ああいう気持ちにならないと、こういうことできないです。本当に最高です」

 女子同様に3点シュートを重視し、5人全員が外に並ぶファイブアウトを採用して攻撃的なチームをつくってきた。選手からは「トムさん」と慕われる熱血漢。昨年8月の強化試合ではシュートへの積極性を欠いた河村に激怒した。即座にベンチに下げ「シュートを打たないとドライブも生きない」と説教。これを機に河村は得点への意識が上がり、22~23年Bリーグで日本人最多得点を記録した。NBAを目指す馬場には外からのシュート精度を上げる必要性を指摘。米国でのシーズンを終えた馬場が4月に帰国後は連日シュート練習に付き合った。

 就任当初は実業団の女子と違いプロでプライドも高い男子との距離感に苦慮したが、チームづくりを進める中で信頼関係の築き方に男女差がないことを確信。女子監督時代と同様に、選手を信じて気持ちでぶつかった。どれだけ怒号を浴びせても信頼が揺るがないのは「Believe」という言葉を大切にしているからに他ならない。90年に日本人女性と結婚して2人の子供がおり、日本語は堪能。細かい表現が分からないこともあるが「自分の言葉じゃないと気持ちは伝わらない」と通訳は使わない。

 「次のパリ五輪、まだゆっくり考えたいけど、新しい目標をつくりたいです。これからもパリ五輪まで、本当にみんなの力が必要。みんな応援してください」とホーバス監督。魔法仕掛けの手腕と采配で、パリでも世界をアッと驚かせてみせる。

 ◇トム・ホーバス 1967年1月31日生まれ、米コロラド州出身の56歳。現役時代はシューター。ポルトガルでのプレーを経て、90年にトヨタ自動車入りした。日本リーグで4年連続得点王。94年にはNBAホークスと契約し、2試合に出場した。95年に日本リーグに復帰し、トヨタ自動車、東芝でプレー。10年にWリーグJX―ENEOS(当時)のコーチに就任し、16年に監督に昇格。11年からは女子日本代表コーチを兼任し、17年に日本代表監督に就任。21年9月から男子日本代表監督を務める。日本人の妻と2人の子供を持ち、日本語が堪能。身長2メートル3。

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