【バスケW杯】渡辺雄太 チームの大黒柱が“報われた”涙…「死ぬまで代表やります!」

[ 2023年9月3日 05:30 ]

バスケットボール男子W杯順位決定リーグO組   日本80ー71カボベルデ ( 2023年9月2日    沖縄アリーナ )

喜びの抱擁をする富樫と渡辺雄(右)(AP)
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 日本勢団体球技の第1号でパリを決めた!順位決定リーグO組最終戦で世界ランク36位の日本は同64位のカボベルデに80―71で競り勝ち、3勝2敗とした。アジア最上位が確定し、2大会連続8度目の五輪出場を獲得。開催国枠ではない自力出場は76年モントリオール五輪以来48年ぶりの快挙となった。司令塔の河村勇輝(22=横浜BC)、シューターの富永啓生(22=ネブラスカ大)の22歳コンビが躍動。“沖縄の歓喜”の立役者となり、日本バスケ界の新時代が幕を開けた。 

 試合終了のブザーが鳴る前から、渡辺は感極まっていた。「最高です。このために本当に大変な思いをしながら頑張ってきた。やっと報われた」。五輪切符を獲得できなければ代表引退。不退転の覚悟で挑み、その切符を手中に収めた。「死ぬまで代表やります!死ぬまで日本代表です」。大黒柱は涙をこぼし、そして安堵(あんど)の表情を浮かべた。

 パリ五輪切符を懸けた大一番はフル出場。試合前から伝えられていた。開始直後に豪快なダンクで攻撃の口火を切った。5得点にとどまったが、守備で奮闘して10リバウンド。劣勢の後半は黒子に徹し、体を張り続けた。「僕は崖っ縁に強い男なので」。代表引退の重圧もはねのけた。

 身を削って日の丸に尽くした。W杯開幕直前に右足首を捻挫しながら強行出場を続けた。NBA期間中はホーバス監督からメッセージが届いても、代表活動について考える余裕はなく返信はしない。世界最高峰リーグだけに集中するが、今大会は例外。層の薄いインサイドで「足がぶっ壊れてもいい」と長時間コートに立った。

 11年に16歳で代表デビューし、世界に屈してきた。16年リオ五輪最終予選で五輪切符を逃し、19年W杯は5戦全敗。開催国枠で出場した21年の東京五輪も3戦全敗に沈み、人目をはばからず号泣した。だからこそ、今回は一切の甘えを捨てた。富樫、馬場、比江島ら東京五輪代表組には早い段階で代表引退という覚悟を示し、八村にも6月に米国で会食した際に「俺は今回が最後になるかもしれない」と伝えていた。

 死に物狂いでつかんだパリ五輪切符。「これは第一歩。こんなところで誰も満足していない」。日本の屋台骨を支えた渡辺の熱き思いが、新たな歴史の扉を開いた。

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