錦富士 新入幕から2場所目で逆転初V照準!休場の兄弟子・照ノ富士の分まで

[ 2022年9月21日 05:30 ]

大相撲秋場所10日目 ( 2022年9月20日    両国国技館 )

押し出しで若元春(左)を破る錦富士(撮影・西海 健太郎)
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 7月の名古屋場所で新入幕したばかりの東前頭10枚目・錦富士が若元春を押し出して2敗を維持し、優勝争いで1差に詰め寄った。尊敬する横綱・照ノ富士がこの日から休場し、兄弟子の分まで奮闘を誓う。全勝だった北勝富士は高安に押し倒され初黒星。玉鷲は大関・御嶽海をすくい投げで破り、この2人が1敗でトップ並走となった。

 ピンチでも自然に体が反応する。星が伸びて当然だ。錦富士は「同じ左四つだけど、がっぷり組めば自分が不利」と見立てていた。若元春に左を深く差され下手を許す最悪の展開。圧力を受けながらも、右小手投げで体勢を入れ替えて押し出した。「うれしい。差されても、とっさに対応できた」。10勝を挙げて敢闘賞を受賞した新入幕の名古屋場所よりも1日早い、10日目に給金を直した。

 最後まで諦めない闘志には理由がある。前日19日に照ノ富士から「俺は休場するけど、俺の分も頑張ってくれ」と声をかけられた。錦富士は左肘を痛めた影響で、入幕が入門同期の翠富士から1年半遅れた。ケガ克服のため、もっと右を使えるよう助言し、稽古で胸を出してくれたのが横綱だった。先場所から横綱土俵入りで露払いを務めるなど距離がさらに縮まり、故障を抱えても責務を果たす横綱の姿に尊敬の念をさらに強くした。その兄弟子から「俺の分も」と優勝を託され、燃えないわけがない。

 全勝だった北勝富士が敗れ、優勝争いトップの2人を1差で追う展開。「優勝は結果的についてくるもの。実力は自分が一番下だと思うので」と無欲を強調する。師匠の伊勢ケ浜親方(元横綱・旭富士)、部屋付きの安治川親方(元関脇・安美錦)と同じ青森県出身。同県出身力士は優勝37回で北海道(120回)、東京(48回)に次ぐ3位と相撲が盛んな地域。ただ、97年九州場所の大関・貴ノ浪を最後に賜杯から遠ざかる。25年ぶりに故郷に歓喜を届けられるのか、残り5日にかかっている。

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2022年9月21日のニュース