葦原代表理事「明確なリーグ批判」溝深まるハンドボール新リーグ問題

[ 2022年9月21日 17:29 ]

理事会後に会見に臨む日本ハンドボールリーグの葦原一正代表理事
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 日本ハンドボールリーグ(JHL)の葦原一正代表理事が21日、オンライン方式で行われた理事会後に会見に臨み、24年9月の開幕を目指す新リーグに現行JHLに参戦する男女計5チームが参入申請しなかった件について、「なぜこうなったか、正直、私も分からない。丁寧に説明している中でこうなっている。こういう状況は本当に良くない」などと述べた。

 参入申請を見送ったのは今季首位を走るジークスター東京や日本ハンドボール協会の湧永寛仁会長が社長を務める湧永製薬など男子5チームと、女子1チーム。この日の会見では6チームが申請を見送った理由として4パターンに分類して説明。このうち東京五輪代表の土井レミイ杏利や多くの日本代表を抱えるジークスター東京が見送った理由として、「(新リーグの立て付けなど)社員総会決議で決めるべき、全チームとのコミュニケーションが足りていない、(リーグ経営方式の)シングルエンティティ、リーグ執行部への不信任。大きく4つ(の理由)」と指摘した。

 18年に創設され、エンターテインメントを取り入れた試合運営などにも積極的だったジークスターの見送りは、ハンドボール界にも衝撃を与えた。チームは参入申請チームが正式発表された今月1日に、公式ウェブサイトで見送りに関して声明を発表。同13日には大賀智也社長が会見を開き、「丁寧に議論した上での合意形成がなされていない」「リーグが2つに分かれることになった責任は、葦原代表と理事会にあると言わざるを得ない」などと異例とも言える批判を展開した。

 葦原氏はジークスターの見送りに関し、「寝耳に水の印象があるのが偽らざる本音」と表明。その理由として「シングルエンティティは全チームで何度も議論して合意形成した。1年で20回以上。実行委員会でそういう(反対)発言があれば考えが変わったなとなるが、ジークスターからは発言がなかった」と、丁寧に議論して合意形成したと主張した。

 またジークスターが求める社員総会決議についても、「定款の第14条に社員総会の機能が書かれている。あくまで人とお金のことを決める機関」とし、新リーグの将来構想は決議事項にないと説明。「ルールブック、定款、規約、昨日をしっかり理解していただいて進めることが大事」と同チームの主張に真っ向反論した。
 大賀氏が葦原氏を名指しで批判したことに対しても、「私としては一線を越えた発言だと思う。あの発言は明確なリーグ批判。たぶん米国の4大スポーツなら間違いなくコミッショナー制裁になる。JリーグやBリーグでもそれなりに制裁される」と不快感を示した。

 現在、審査を行っている新リーグ参入チームの発表は、予定通り来月下旬に行い、24年9月の開幕を目指す。新リーグを推進するJHLとジークスターなど見送りチーム側の溝は深まるばかりだが、公の場でリーグのトップとして異例の反論を展開した葦原氏も、「いち早くプロとして立ち上がらないと、船が沈む危機感がある。今動き出さないと間に合わない」と語気を強めた。

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2022年9月21日のニュース