【世界陸上】川野将虎が銀「本当に多くの支えがあってこの舞台に立つことができた」新設35キロ競歩

[ 2022年7月25日 00:38 ]

陸上・世界選手権最終日 ( 2022年7月24日    米オレゴン州ユージン・ヘイワードフィールド )

新設された競歩35キロで銀メダルを獲得した川野(AP)
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 今大会から新設された男子35キロ競歩が行われ、川野将虎(23=旭化成)が2位の銀メダルを獲得した。また、野田明宏(26=自衛隊体育学校)は9位、松永大介(27=富士通)は26位だった。

 松永がスタート直後から抜け出して独歩する中、川野は2位集団で冷静にレースを進めた。松永が21キロの手前で集団に捉えられてペースダウンする中、川野はきっちりと先頭集団のメダル圏内をキープ。残り2キロで東京五輪20キロ競歩で金メダルを獲得したイタリアのスタノがスパート。一騎打ちとなった川野は必死に食らいついたが、惜しくも2位の銀メダルでフィニッシュとなった。

 東京五輪を最後に50キロ競歩が廃止され、35キロ競歩が新設された。これが主要国際大会のレースは初開催。「世界の選手を見ていると、スピードのある選手が35キロで活躍していると感じがする。スピードが勝負の分かれ目になると思っています」。50キロの日本記録保持者で、20キロでも日本歴代3位の記録を持つ川野にとって、適性が見込まれる35キロ。今まで以上にスピードに特化したトレーニングにも着手して本番を迎えた。

 今年1月には極度の貧血となり、一度は世界選手権への出場を諦めかけた。川野が東洋大時代から今も指導を仰ぐ酒井瑞穂コーチは「医師からは完治まで半年以上かかると言われた」という。今まで以上に自己管理を徹底するとともに、50キロで6位に入賞した五輪後には酒井コーチから自炊を促された。当初は目玉焼きすら満足に作れなかったが、今では栄養バランスを考えて複数のおかずを食卓に並べ、毎食ごとに写真を撮って酒井瑞穂コーチに送信。内面から見直し、再び世界の舞台に立った。

 レース後のインタビューで川野は「今年の1月から貧血の症状でなかなか思うように練習もできず、この大会を本当に諦めかけていた。本当に多くの支えがあってこの舞台に立つことができた。この支えに感謝したい」と感謝の言葉を伝えた。

 銀メダルを獲得したものの「まだ金メダルを獲れていない」と満足しておらず「まだまだ未熟な点っていうのが多かった。ここからたくさん鍛えられる部分がある。ここで慢心せず、次の世界陸上、パリオリンピックに向けて精いっぱい頑張っていきたい」とさらなる成長を誓った。

 ◇川野 将虎(かわの・まさとら)1998年(平10)10月23日生まれ、宮崎県出身で静岡県育ちの23歳。御殿場南高で競歩を始め、東洋大に進学。19年10月の全日本競歩高畠大会で50キロの日本記録(3時間36分45秒)を樹立。東京五輪は50キロで6位入賞。今年4月に日本選手権で35キロ優勝。1メートル77、60キロ。

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