【玉ノ井親方 視点】逸ノ城はどこで負けるか…。残る大関は正代だけだが、大栄翔戦の正代の相撲は良かった

[ 2022年7月15日 19:21 ]

大相撲名古屋場所6日目 ( 2022年4月15日    愛知・ドルフィンズアリーナ )

御嶽海(左)を破った逸ノ城(撮影・亀井 直樹)
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 もうどこで負けるか、全く見えてこない。今場所の逸ノ城は隙がない感じだ。1メートル92と上背があって、懐が深い上に211キロの巨体が素早く動く。私の時代は200キロを超える力士は小錦さんくらいだったが、晩年の小錦さんは膝が悪く、速いイメージはあまりなかった。

 5日目の照ノ富士戦に続いて御嶽海戦も左上手を取るのが早かった。取った位置も良かった。しかも御嶽海がまともに正面から当たってきてくれたおかげで、上手を引いて苦もなく前に出ることができた。見方を変えれば御嶽海に工夫がなかった。肩が痛くて右を十分に使えないのであれば、左を使って攻めるべきだった。逸ノ城にすれば相手に回り込まれたり、おっつけられたりしたら嫌だったかもしれない。そうした動きがまったくなかったのは残念だった。

 逸ノ城はこれで1横綱、2大関を撃破。大関陣で当たっていないのはカド番の正代だけだ。ただ、この日の正代は良い相撲を見せた。馬力のある大栄翔に肩から当たって、前傾姿勢を保ちながら前に出た。胸を出して上体がそるような悪癖は見られず、下半身に余裕がある取り口だった。この日のような相撲を取り続けられれば勝ち越しも見えてくるし、上体が上がらず中に入ることができれば、逸ノ城を慌てさせることもできる。カド番という厳しい立場にいるのだから、開き直って今できる最大限の自分の相撲を取り切ってほしい。(元大関・栃東)

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2022年7月15日のニュース