監督は絶対、選手にケガさせたらあかんねん だからオレはロッテの「スタンス」を支持するで

[ 2022年4月27日 08:00 ]

鳥内秀晃氏
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 【名将・鳥内秀晃の人間話 頼むでホンマ】プロ野球界は佐々木朗希(ロッテ)の話題一色やな。完全試合を達成した次の登板(4月17日)で、8回で代わったことが論争になってたけど、指導者の立場から言うと、選手にケガさせてしもたら終わりやねん。大谷翔平(エンゼルス)とかダルビッシュ有(パドレス)とか、いい投手がたくさん、「トミー・ジョン手術」(肘の腱や靱帯の移植再建手術)を受けてるわな。考えなあかんのは、何でオペせなあかん状況になるほど、酷使されてきたか、ということやねん。

 個人的には、高校から入ってきた選手を、急いで1軍の試合に使わんでええんちゃうの、と思うわ。高校のトレーニングは科学的な根拠も限界があるし、身長や体重の数字が同じでも、プロとは筋力や持久力の圧倒的な差があんねん。

 オレかて監督やってる時、1年生で能力高い子が入ってきたら、すぐ試合で使いたくなったわ。けど、無理して出して、ケガさせてしもたこともあってな。治るまでに半年、1年かかる子もいてんねん。そんなことになったら、本人が一番かわいそうや。

 今年も、うちの部には、50人くらい新入部員が入ったんかな。大村監督やコーチも、彼らの体作りを担当するスタッフには、「絶対、無理さすなよ」って、口が酸っぱくなるほど言うてるはずやで。みんな、アピールしようと張り切るやん。それはええねんけど、そこで肉離れでもしたら、意味あれへん。常に、トレーニングできる体は置いとかなあかんねん。調子が悪い時は、自分から休む勇気も必要やし、それを言える空気も大事やで。そういう環境作りや、目配せも、指導者の重要な仕事やな。

 プロ野球の話を続けると、今年は普通にお客さん入れてやってるけど、未だに取材は規制してるって、どういうことなん。球場に来られへんファンのこと考えたら、どんどん取り上げてもらわなあかんのちゃう。アメリカのプロスポーツなんて、ロッカールームまで報道陣に開放してるわけやろ。「選手が嫌がるから」っていう言い訳は、ファンあってのプロスポーツという視点が欠落してるわ。球団が、マスコミを不都合なことを暴く存在と考えすぎちゃうかな。夢を与える仕事をやってるねんから、もっとオープンにしてほしいわ。頼むで、ホンマ。

 最後は、コロナの話や。マスクはいつまでしとかなあかんのかな。今は電車の中でも、ベラベラ喋っている人なんかいてへんし、黙っていたら、外してもええんちゃうの。大リーグとか、欧米のスポーツ観とっても、もう誰もマスクしてへんで。これから、どんどん気温も上がっていって、特にお年寄りや子どもの熱中症の方が心配やわ。

 ワクチンにしたかて、3回目の接種を言うてるけど、打てへん人が多いから、廃棄処分にしてるやろ。それやったら、まだ接種が進んでない国に送ったらええやん。国外にも、国内にも困ってる人が山ほどいてはるねんから、政治の力で何とかしたってほしいな。

 実は先日、知人が夫婦でコロナにかかって。ご主人は症状が軽かったけど、奥さんは熱も結構出たらしいわ。ご主人は60歳を超えてるから、症状を和らげる薬が何日分も出たり、抗体カクテル療法やホテル療養も勧められたのに、50歳代の奥さんは何もないねんて。保健所へ電話したかて、「(50歳代は)認められません」って返事やったって、怒ってたわ。

 コロナの治療なんて、どう考えても「先手必勝」が大事やん。それやのに、症状の重さ関係なしで、こんな杓子定規なことしとったらあかんわ。薬くらい、みんなに出したらええやん。コロナ禍になって3年目。まだ、こんな対応してるって、ホンマにあきれるな。(関西学院大アメリカンフットボール部前監督)

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