大西翔太〝即効〟ラウンド術⑫ プレッシャーの克服法

[ 2022年4月1日 12:00 ]

大西翔太〝即効〟ラウンド術⑫プレッシャーの克服法
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 練習場では良いショットが出るのに、いざコースになるとミスが…。それは技術面よりもメンタルの問題かもしれません。最終回はプレッシャーがかかったときの対処法がテーマです。大西翔太コーチによれば、ツアープロでも優勝争いのときや予選通過ラインがギリギリのときは緊張すると言います。そんなときこそ気を付けるポイントがあると、荒川侑奈選手にレッスンしました。読者のみなさんも、ぜひマスターして好スコアにつなげましょう。 動画で見る・大西翔太〝即効〟ラウンド術⑫

 荒川 試合の時にプレッシャーがかかるとミスショットを連発するんですが、何かいい対処法はありませんか?

 大西 プレッシャーがかかると、体がうまく動かなくなるのがミスの原因です。ところで、なぜ体が動かなくなるか知っていますか?

 荒川 いえ、分かりません。

 大西 体というのは、脳から指令を受けて動きますよね。従って脳からの指令が途中で遮断されると、思うように体が動かなかったり、想定外の動きが出てしまうんです。

 荒川 どうして脳からの指令が遮断されてしまうのですか?

 大西 緊張すると脳に酸素が回らず、心の重心が頭のところまで上がってしまうからです。よく〝頭に血が上る〟とか〝頭が真っ白になる〟と言いますよね。それって、まさに心の重心が頭まで上がったことを言い表しています。心の重心が上にくればくるほど、冷静な判断ができなくなり、体も思うように動かなくなります。

 荒川 ちなみに心の重心とは何でしょう?

 大西 気持ちや精神ですね。心の重心が下がっている状態は平常心に近く、脳からの指令が体に対してスムーズに伝わり、本来のパフォーマンスを発揮してくれます。畑岡奈紗さんが打つ前にジャンプしていますが、それも心の重心を下げるためでしょう。ただ、私が勧めたいのは〝深呼吸〟です。実は、プレッシャーを感じて脳に酸素が回らないのは、呼吸をしていないことに原因があります。仮に呼吸をしていても短くて浅いんですよね。

 荒川 普通の深呼吸でいいんですか?

 大西 鼻から5秒かけて息を吸ったら、口から5秒かけて吐き出します。吸えるところまで吸って、吸えなくなったら口から吐くという感じですね。肩が上がるぐらいに息を吸い、おなかがへこむぐらい腹筋を使って息を吐きましょう。それだけで心の重心は下がります。

 荒川 深呼吸することで体が動くようになるんですか?

 大西 なります。頭の深いところまで酸素が回ると、体が1度リセットされるからです。従って、深呼吸をルーティンに入れてみるのもいいでしょう。ボールをティーアップしたら、ボールの後ろに立ち、目標を見ながら深呼吸を行います。気持ちが落ち着いたところでアドレスに入るイメージです。

 荒川 それはいい考えですね。緊張したままアドレスに入ると、どうしてもリズムが速くなりますから。

 大西 できれば、深呼吸するときは、ヘソのすぐ下にある臍下丹田(せいかたんでん)に力を入れることをお勧めします。ここに力をこめると上半身をリラックスできるからです。

 荒川 実際に試してみると、肩の力が勝手に抜けて、腹筋に力が入る感じがしますね。

 大西 その状態でスイングすると、大きなミスにはつながらないので、プレッシャーがかかったときに有効ですよ。

 (取材協力・船橋カントリークラブ)


 ◆大西 翔太(おおにし・しょうた)1992年(平4)6月20日生まれ、千葉県出身の29歳。12歳でゴルフを始め茨城・水城高ゴルフ部で石井貢監督に師事。卒業後に日本プロゴルフ協会ティーチングプロA級資格を取得。女子プロの青木瀬令奈と契約を結び昨年のサントリー・レディースでは復活優勝に導く。昨年から渋沢莉絵留も指導。妹の葵も女子プロ。

 ◆荒川 侑奈(あらかわ・ゆな)1995年(平7)10月28日生まれ、千葉県出身の26歳。9歳でゴルフを始め関東中学選手権、千葉県ジュニアで優勝。聖徳大付女子高卒。1Wの平均飛距離は250ヤード。

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