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<羽生結弦を語ろう(8)>上杉家17代当主・上杉邦憲氏、謙信公との共通点「奥義極めようとする求道者」

[ 2022年2月10日 06:35 ]

全日本フィギュア男子フリーで圧巻の演技をみせた羽生結弦(撮影・小海途 良幹)
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 ラストの第8回は10日のフリーで演じる大河ドラマ「天と地と」の主人公・上杉謙信の子孫で、上杉家17代当主の上杉邦憲さん(78)。謙信公が貫いた美学になぞらえ、フィギュアの求道者として無欲の境地で挑む心得を説いた。

 羽生結弦選手ですか?もちろん知っていますよ。スポーツが大好きで、フィギュアも必ず見ています。20年の全日本選手権から「天と地と」を演じられていましたね。それは全く知らなくて、全日本を見た時にいきなり知って“えー!何だ、これはっ!”という感じでしたね(笑い)。「天と地と」は1969年に初めてカラーで放送されたNHK大河ドラマ。当家が題材なので第1回から必ず見ていました。テーマ曲も印象的でよく覚えています。

 さて、謙信公の話をしましょう。謙信公が幼少期を過ごした新潟県上越市の春日山林泉寺の門には「第一義」という直筆の言葉が掛かっています。そこから謙信公は「義」を第一にすると勘違いされますが、「第一義」とは達磨(だるま)大師の禅問答の言葉です。禅の教えで「神聖なる真理の最も根源にある奥義」という意味です。平たく言うと「明鏡止水」と言いますか、単純に言えば「無欲」。謙信公はそれを追い求めた求道者だったと我々は思っています。

 謙信公はその言葉を生涯、生きがいにされていた。「第一義」を極めようとして、それに必要な戦いをせざるを得なくなった。私は謙信公を単なる戦国武将ではなく求道者だと捉えています。羽生選手の挑戦し続ける姿勢を見て、衣装や音楽だけでなくフィギュアスケートにおける奥義を極めようとする求道者だと感じました。そこに謙信公との共通点を感じました。

 フィギュアスケートの奥義と言えば、4回転アクセルかもしれません。羽生選手には4回転アクセルを完成させて、その道を極めていただければと思います。単なる勝負で勝とうというより、道を極めようとして、そこに近づいているのではないかと思います。

 8日のSPの演技を見ました。極めようとする道には何と過酷な魔物が潜んでいるのでしょうか。ですが、道を極めれば、自然と結果はついてくる。謙信公は「明鏡止水」ですが、氷上で戦う羽生選手には「明鏡止氷」の気持ちで前人未到の4回転半の奥義へ挑んでいただきたいと思います。=終わり=

 ◇上杉 邦憲(うえすぎ・くにのり)1943年(昭18)4月18日生まれ、山形県出身の78歳。東大大学院工学研究科航空学専攻修士課程修了。工学博士。03年から宇宙航空研究開発機構(JAXA)の宇宙科学研究本部教授(現名誉教授)。07年に惑星探査機「はやぶさ」プロジェクトチームの一員として「文部科学大臣表彰科学技術賞」を受賞。旧米沢藩主上杉家の17代当主として、上杉氏関連の講演会も行っている。

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