柔道 新井千鶴が現役引退「達成感味わえた」東京五輪女子70キロ級金メダルで有終の美

[ 2021年9月10日 18:54 ]

オンライン会見で現役引退を発表した新井千鶴
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 柔道女子70キロ級で、初出場した東京五輪で金メダルを獲得した新井千鶴(27=三井住友海上)が10日、現役引退を発表した。今後は社業と並行し、指導者に転身して第二の柔道人生を歩む。

 所属の上野雅恵監督(42)と共にオンライン会見に臨んだ新井は「たくさんの応援やサポートのおかげで現役を続けられた。振り返えれば苦しいことも多かったが、その分達成感を味わえた」と感謝の気持ちを伝えた。五輪後に去就について熟考した中で、「第二の人生を考え、歩んでいきたいという思いが強くなった」ことから引退を決断したといい、「指導者として何か(柔道界に)貢献したい思いがある」と話した。

 埼玉県寄居町出身の新井は地元クラブで小1から柔道を開始。埼玉・児玉高進学後は入学時の52キロ級から次々に階級を上げ、高3だった11年には70キロ級でインターハイ優勝を果たした。12年4月に女子実業団屈指の強豪である三井住友海上入り。同階級で五輪2連覇女王の上野雅恵監督、日本代表で担当コーチだった上野順恵コーチらの背中を追って力を付け、15年の世界選手権に初出場。16年のリオデジャネイロ五輪は田知本遥との争いに敗れて代表入りを逃したが、翌17年から世界選手権を2連覇。1年延期となった東京五輪では4試合を勝ち抜いて頂点に立つと、男女混合団体戦でも銀メダル獲得に貢献した。

 柔道スタイルは力強い内股を武器とする正統派だが、東京五輪では準決勝のタイマゾワ(ROC)戦で16分超えの死闘の末、最後は絞め落とす執念の勝利で新境地も見せつけた。30歳で迎える3年後のパリ五輪での2連覇も期待されたが、新井本人は「まだまだやれると言ってもらえるのはうれしいが、簡単なことではない。覚悟を持って日々歩むから(金メダルは)かなえられるもの」と達成感を強調。上野監督も「いろんな苦労を乗り越えて金メダルを獲った。十分やってくれたという思い」と理解を示した。

 会見では終始笑顔だった新井だが、代表コーチとして二人三脚で金メダルを獲得した順恵コーチに話題が及ぶと、「こみ上げてきた」と感情を抑えきれずに涙。「10こ上の先輩だが、私の生意気な一面も受け止めてくれて、目標達成のために歩んでくれた。感謝の気持ちでいっぱい」と話した。

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