競泳 鈴木孝幸が出場全5種目メダル、50背泳ぎで銀「ベスト尽くせた」

[ 2021年9月3日 05:30 ]

東京パラリンピック第10日・競泳 ( 2021年9月2日    東京アクアティックスセンター )

今大会5個目のメダルとなる銀メダルを獲得した鈴木(撮影・光山 貴大)
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 男子50メートル自由形(運動機能障がいS4)決勝で鈴木孝幸(34=ゴールドウイン)が37秒70で銀メダルを獲得した。今大会は50メートル平泳ぎで銅、100メートル自由形で金、150メートル個人メドレーで銅、200メートル自由形で銀を獲得しており、出場した個人全5種目でメダル獲得を達成。女子50メートル背泳ぎ(運動機能障がいS2)決勝では今大会日本選手団最年少の山田美幸(14=WS新潟)が1分6秒98で銀メダル。100メートル背泳ぎの銀に続き自身2個目のメダルを獲得した。

 今大会最後のレースを終えると、鈴木は残念そうな表情を浮かべた。大会新記録で優勝したダダオン(イスラエル)に0秒49及ばず銀メダル。スタートで滑ってしまい、序盤から先行するプランが崩れた。それでも「できる限りのベストは尽くせた」と立て直し、残り5メートルでベジャト(イタリア)も含めた3人が横一線となる優勝争いで37秒台をマーク。「金メダルを獲りたかったので悔しさもあるけど、全種目でメダルを獲る目標が達成できてうれしい」。納得の締めくくりだった。

 メダルゼロに終わり引退も考えた前回リオデジャネイロ大会から5年。下半身が沈まないように体幹中心に体を鍛え、進化した体に合った泳ぎ方を模索しながら、1年の延期も利用した入念な準備で臨んだ東京で、13年ぶりの金を含む5個のメダルを手にした。「今までで一番いい大会になったなと。五輪同様パラも多くの方に見ていただいて、スポーツとして楽しんでもらえていたらうれしい」。大会前には今回が最後のパラ出場という覚悟も口にしていたが、今後を問われると「今はトレーニングしたくない」と笑わせた上で「落ち着いて考えてみたい」と含みも持たせた。

 13年から拠点を置く英国でスポーツマネジメントを学んでおり、パラスポーツ振興に意欲を見せる。選手村などで3日まで投票が行われる国際パラリンピック委員会(IPC)のアスリート委員に立候補しており、当選したらアジアのパラスポーツ発展に尽力するつもりだ。「これからもスポーツに限らずチャレンジしていきたい」。5大会で計10個のメダルを獲得した鈴木が文字通り“パラの顔”として活動することになりそうだ。

 ◇鈴木 孝幸(すずき・たかゆき)1987年(昭62)1月23日生まれ、静岡県出身の34歳。今大会100メートル自由形の「金」などと合わせ計5個のメダルを獲得。パラリンピック通算では10個目。ゴールドウイン所属。

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