山県主将宣言 リレー金で日本照らす、コロナ下五輪でも「気持ちが明るくなるきっかけに」

[ 2021年7月7日 05:30 ]

東京五輪 日本選手団結団式、壮行会

壮行会で決意表明をする日本代表選手団の山県主将(中央)と石川副主将(左)、旗手の須崎
Photo By 代表撮影

 今月23日に開幕する東京五輪の日本選手団結団式と壮行会が6日、都内で行われ、陸上男子短距離の山県亮太(29=セイコー)が決意表明した。新型コロナウイルス下で、6人の参加者はマスク着用。大半の選手はオンラインという異例の式典となった。一部で無観客開催の可能性が浮上する中、選手582人、監督・コーチら476人の史上最多1058人の選手団で自国開催の五輪に臨む。

 日本選手団主将の山県が決意表明をするために、結団式の舞台中央へ立った。日の丸と五輪マークが入ったブレザーは、過去の式典と同様。違うのは、マスク着用であることだ。両隣の副主将・卓球の石川佳純、旗手でレスリングの須崎優衣も同様。現在の状況を象徴する姿で、しかし力強く宣言した。

 「コロナ禍で開催自体の意義が問われる中、常に自分たちに何ができるのか、スポーツの意義について考えてきました。今、自分たちにできることは、真摯(しんし)に競技に向きあい、ベストを尽くすことだと思います。スポーツの力を信じ、チームジャパンの一員として全力で戦い抜くことを誓います」

 結団式とその後の壮行会も、他の選手はリモート参加で、出席者はわずか6人。競技ごとに選手がスクリーンに映され、オンラインで視聴する人々に手を振った。選手約300人、観客・関係者1万人が参加した16年リオデジャネイロ五輪の壮行会から、大きく様変わりした。

 開催への逆風が強く吹く過去にない形の五輪。山県はその大会を支える主将にふさわしい実績を持つ。3大会連続の五輪出場で、前回リオ大会は男子400メートルリレーで銀メダル。今年6月には男子100メートルの日本記録9秒95を出した。

 勤勉かつ温厚な人柄で知られ、慶大時代の13年ユニバーシアード大会、18年アジア大会でも選手団の主将を務めた。日本選手団の尾県貢総監督は「リオの後、本当に(故障で)苦労しながらここまでたどり着いた。精神力と前向きな気持ちを買っている」と人間性を評価しての主将選出だと説明した。

 23日の開会式では、石川とともに選手宣誓をする。大役を果たした後に、男子100メートルの決勝進出と、400メートルリレーの金メダルを目指す。「私にとってそうであるように、五輪を見ている方にとっても、スポーツが、気持ちが明るくなるきっかけになれば」。アスリートの存在意義を示す――。使命感を持った29歳の戦いが、間もなく始まる。

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2021年7月7日のニュース