大関返り咲きへ高安「兄弟子」荒磯親方に感謝の1勝、腰痛で2日間休場

[ 2021年7月7日 05:30 ]

大相撲名古屋場所3日目 ( 2021年7月6日    ドルフィンズアリーナ )

高安(左)が寄り切りで逸ノ城を下す
Photo By 共同

 大関返り咲きを目指す関脇・高安がこの日から出場し、平幕・逸ノ城を寄り切って白星発進した。看板力士復帰には13勝以上のハイレベルな優勝を求められており、残り全勝で奇跡の賜杯となれば、来月1日付で独立する兄弟子の荒磯親方(元横綱・稀勢の里)へ最高のはなむけとなる。全勝は横綱・白鵬、大関・照ノ富士、平幕の玉鷲、琴ノ若、剣翔の5人となった。

 急性腰痛症で初日、2日目を休場した高安がその影響を感じさせない力強さで喝采を浴びた。復帰戦の相手、逸ノ城とは過去6勝6敗。ただ、今場所2連勝と好調の1メートル92、200キロの巨漢で、大苦戦も予想された。だが、思い切り良く攻め続けた。立ち合いは頭で当たって圧力をかけながら左をねじ込む。振りほどかれ、何度はたかれても前傾姿勢を崩さず、最後は左差し、右おっつけで寄り切り。「バタバタしないように、頭を上げないことだけを考えた」と振り返った。

 今場所に懸ける思いの強さを土俵で表現した。同じ茨城県出身で背中を追ってきた兄弟子、荒磯親方が来月に独立し、茨城県内で新たに部屋を創設する。15歳で入門した高安はずっと胸を出してもらい、その関係は19年初場所後に稀勢の里が引退して親方となってからも続いた。積み重ねた申し合いは「1万番以上」。今場所前も稽古をつけてもらった。

 今年春場所、夏場所をともに10勝5敗とした高安の大関復帰について、審判部の伊勢ケ浜部長(元横綱・旭富士)は13勝以上の優勝を目安としている。優勝制度創設後、連敗発進から優勝した例は一度もない。82年夏場所の朝汐、98年春場所の曙、07年春場所の朝青龍が連敗から13連勝したものの、賜杯は逃した。2日目まで休場しながら賜杯を抱けば、文字通りの奇跡。「思い切って休養を取って万全になった。優勝争いに絡みたい」。悲願の初優勝で、強い絆で結ばれた兄弟子への感謝を示す。

続きを表示

2021年7月7日のニュース