山県 男子100史上初の3大会連続五輪!“最速決戦”1000分の1秒差滑り込み3位

[ 2021年6月26日 05:30 ]

陸上・日本選手権兼東京五輪代表選考会第2日 ( 2021年6月25日    大阪市・ヤンマースタジアム長居 )

男子100メートル決勝で3位に入り、電光掲示板を見つめる山県(撮影・北條 貴史)
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 山県が紙一重で代表権を決めた。4位の小池とは、1000分の1秒差の3位。10秒264と10秒265(正式記録はともに10秒27)の大激戦だった。

 「いつも通りを心掛けたけど、緊張しました」

 多田に前に出られ、中盤の加速も鈍った。ゴール前は、桐生、サニブラウンを入れた東京五輪参加標準記録を突破した4人がなだれ込んだ。3~6位は0秒02以内にひしめく大混戦。そこで先着したのは9秒95の日本記録保持者の意地だった。

 この種目3度目の五輪代表は、96年アトランタ、04年アテネ、08年北京代表の朝原宣治と並ぶ日本勢最多タイ。3大会連続は史上初だ。長期間の活躍は難しい種目で、偉業だ。

 慶大1年の11年から日本選手権に出るスプリンターも相次ぐ故障に苦しんだ。腰、背中、膝、足首…。負担がかかるところは、ほとんど痛めた。その都度、乗り越えられたのは、向上心というべき「成長マインド」を強く持っているからだ。

 故障をすれば、「ケガや痛みは体のサイン」と受け止め、フォームの修正、ウエートトレーニングの方法を見直すきっかけにした。

 この2年は成績が出なかった。30歳目前の低迷は精神的にもこたえたが、敗戦も飛躍のきっかけと捉えた。「この2年は負けて、いい意味で負けを恐れなくなった。負け慣れたところがあったからこそ、思い切って変化を恐れずにチャレンジできた」。トレーナーとマネジャーが代わり、コーチも初めて付けた。身の回りを一新し、11秒台だった中学時代に「初めて意識をした」という9秒台を今月、ついに出した。

 五輪は「自己ベストを出したい」と力を込める。この悔しさを、本番にぶつける。

 ◇山県 亮太(やまがた・りょうた)1992年(平4)6月10日生まれ、広島市出身の29歳。小学3年で陸上を始めた。AO入試で慶大に進学。12年ロンドン、16年リオ五輪の2大会に出場。リオ五輪男子400メートルリレーは1走を務め、銀メダル獲得に貢献した。21年6月6日の布勢スプリント(鳥取)で9秒95の日本記録をマーク。1メートル77、74キロ。

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