五輪選手村 7・7プレオープン、最新システム導入でコロナ対策万全 医療スタッフも100人

[ 2021年6月23日 05:30 ]

東京オリンピック・パラリンピック選手村内覧会であいさつを終え、記念撮影に応じる組織委員会の橋本聖子会長と選手村の川淵三郎村長
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 川淵三郎氏(84=日本トップリーグ連携機構会長)が村長を務める選手村は来月7日にプレオープンし、13日に開村する。東京・銀座から約2キロのベイエリア・晴海で世界各国の選手を迎えるが、北島隆ビレッジゼネラルマネジャー(VGM)は「さまざまなコロナ対策をした。簡素化を図るため、さまざまなサービスを省いた」と語る。3密を回避するために導入されたのが「混雑検知システム」。メインダイニングホールなどの共用エリアをセンサーで映像解析し、人数をカウント。約2分更新で混雑状況を伝える。情報はスマートフォンなどで確認できる。

 ウイルスに感染した場合も想定し、仮設の「発熱外来」も設けた。19棟のプレハブを建設。日中は最大100人の医療スタッフが待機し、24時間態勢で感染症の疑いがある患者の診療とPCR検査を行う。陽性者が発生した場合は、軽症なら宿泊施設、重症なら病院へと移送する。

 《1人飲み推奨》選手村では酒類の持ち込みは原則認められている。ただし、感染防止の観点から自室での「1人飲み」が推奨され、共用スペースでの集団飲酒や宴会は禁止の方針だ。酒類の持ち込み自体を批判する声もあるが組織委員会の武藤敏郎事務総長は「自分の家やホテルの部屋で飲むのと一緒」との見解。川淵村長は「W杯でも何万本ものワインをコンテナで送る国がある。フランスは夕食で選手1人に1本ワインを出している」と各国の文化も考慮すべきとの考えを示した。

 《“世界の700品”を無料で》2階建て、3000席のメインダイニングホールは700品のメニューを用意。日本食、アジア、ワールドに加え、イスラム教徒に対応した料理も無料で提供する。素材を生かしたシンプルな味で、約50種類の調味料で選手自らが味付けすることで“世界中の舌”に応える。カジュアルダイニングは日本の食文化を発信する場。47都道府県の食材を使用し、おにぎりなど庶民的な味を堪能できる。

 《映える一枚撮れちゃう!?》カジュアルダイニング、フィットネスセンター、診療所などのほかに、選手のレクリエーションエリアも準備された複合施設。派手なピンク色の写真撮影スポットでは“映える一枚”が撮れる。QRコードを読み込んで写真を取り込むと、自転車に乗っているような画像や動画が完成する。

 《遮光カーテンで脱時差ボケ》全21棟の居住棟の総戸数は3800戸。五輪の時のベッド数は、1万8000個となる。設置されるベッドフレームは段ボール製で、100%リサイクル可能。全ての窓に床ぴったりの高さの遮光カーテンが取り付けられた。北島VGMは「時差ボケで昼に寝たい選手のために光を漏らさないようにした」と説明。

 《コンドームは選手帰国時配布》約16万個用意されているコンドームは、選手たちの帰国時に配られる。コロナ下から“濃厚接触の助長”と疑問視する声もあるが、組織委は「HIVやエイズ撲滅のメッセージとして提供する」と説明。88年ソウル五輪から続けられている啓発活動で、今回は目的に賛同する企業4社から約4万個ずつを提供してもらうという。北島隆VGMは「母国に持ち帰って啓発してもらうことが重要」としている。

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