衝撃花園デビューから11年 パナソニック福岡 ラスト聖地で3トライ ラグビートップリーグ

[ 2021年5月15日 21:10 ]

ラグビー日本選手権兼トップリーグ・プレーオフトーナメント準決勝   パナソニック48―21トヨタ自動車 ( 2021年5月15日    大阪・花園ラグビー場 )

<パナソニック・トヨタ自動車>後半29分 トヨタ自動車・高橋(下)のタックルを受けながらもトライを決め、笑顔でガッツポーズのパナソニック・福岡(撮影・成瀬 徹)
Photo By スポニチ

 ホワイトカンファレンス1位のパナソニックがレッドカンファレンス2位のトヨタ自動車を48―21で下し、5季ぶり5度目のリーグ制覇に王手を懸けた。今年4月に順大医学部に進学し、今季限りで引退するWTB福岡堅樹(28)が3トライを挙げ勝利に貢献した。

 花園ラストマッチで、希代のトライゲッターがハットトリックを達成した。開始わずか31秒、「分析して、狙おうと言っていた」と相手キックオフを蹴り返さずに左へつなぎ、大外の福岡がスピードを上げて敵陣へ。サポートしたFB野口とのワンツーで抜け出すと、最後は相手FBルルーのタックルを受けながらも左隅に飛び込んだ。「トライになったのは結果論だが、チャンスはあると思っていた」と用意周到なプレーで先制パンチを浴びせた。

 ただ、「自分自身、トライ後にフワフワした」と反省した通り、あまりに簡単に先制点を挙げたことで、チームは普段の落ち着きを失った。堅守にほころびが生まれ、その後は3連続トライを許して追い掛ける展開に。福岡自身も前半9分、16分と対面のWTB高橋汰のトライを許し、「トータル的には足りない部分がある。タックルミスがあった。自分としてはまだまだ」と表情を引き締めた。

 後半20分時点で20―21。今季これまでの試合にはなかった展開だったが、福岡は「(敗戦の予感は)全くしなかった。チームの後半の強さは分かっているし、相手の足が止まってきたのも見えた」と振り返る。途中出場からFBに入った山沢拓のトライで逆転すると、同29分には大きく抜け出したフランカー福井をサポートして自身2トライ目。勝利が決定的だった同37分には、ハイボールキャッチから約60メートルを走りきる圧巻の個人技でハットトリックを達成し、「このスタジアムではたくさんの素晴らしい試合をやってきた。最後にハットトリックで終われて良かった」と話した。

 2010年12月28日、28年ぶりの花園出場となった名門・福岡高の1回戦で、終了間際の劇的な逆転認定トライを引き出したのが、当時3年生だった福岡だ。右膝十字靱帯が切れたままサポーターをして出場すると、左ライン際を40メートル爆走。インゴール直前、相手はたまらず肩口からタックルに入り、認定トライが認められた。

 その伝説的な花園デビューから11年。花園ラストマッチでも伝説を残した福岡も、今月23日の決勝(東京・秩父宮ラグビー場)がいよいよ引退試合となる。「チームにとって、(現行制度最後の)トップリーグにとっても、僕にとっても最後の試合。とにかく悔いが残らないように、パナソニックで優勝できるように全力を尽くしたい」。花道を自ら飾る準備は整った。

続きを表示

この記事のフォト

2021年5月15日のニュース