ラグビー03年W杯優勝、イングランド代表ら8選手が早期認知症 集団訴訟へ

[ 2020年12月10日 05:30 ]

 ラグビーの03年W杯を制したイングランド代表のフッカーだったスティーブ・トンプソン氏(42)ら8人の元選手が初期の認知症と診断されたのは、国際統括団体ワールドラグビーや元選手が活動していたイングランドとウェールズのラグビー協会が適切な頭部の保護を怠ったためとして集団訴訟の手続きに入ったと複数の英メディアが8日に報じた。

 02~11年に代表戦73試合に出場したトンプソン氏はW杯優勝時も全試合でプレーしたが「試合のことは覚えていない。スコアも知らない」と告白。日常生活で夫人の名前を思い出せないこともあり「子供にラグビーはさせたくない」と漏らす。

 近年は接触競技で脳しんとうなど頭部へのダメージ蓄積による健康被害を懸念する声は多く、NFLでは13年に後遺症に苦しむ約4500人の元選手が集団訴訟。競技との因果関係には触れなかったものの、将来にわたる研究費を含めて7億6500万ドル(約797億円)の和解金支払いで合意した例がある。

 また、サッカーでも若年層のヘディングを制限する動きが活発化。英国では1966年W杯でイングランド優勝に貢献し、今年10月に亡くなったノビー・スタイルズ氏や主軸だったボビー・チャールトン氏が認知症を患っていることも注目を集める要因となっている。

 英BBCは今回の集団訴訟が認められた場合は「(ラグビーが)競技方法の変更を余儀なくされる可能性がある」と報じている。

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2020年12月10日のニュース