記者が語る五郎丸という男 忘れられない 雨の中でも“神対応”

[ 2020年12月10日 05:30 ]

ラグビー15年W杯代表、五郎丸歩 TL新シーズン限りで引退

15年、日本選手権で初優勝し表彰台で喜びを爆発させる五郎丸(左端)らヤマハ発動機フィフティーン
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 忘れられない光景がある。五郎丸が海外移籍からヤマハ発動機に復帰して2日目の17年7月4日。雨の中、全体練習後にプレースキックなど自主練習を終えると、残っていた見学者に歩み寄り記念撮影などに応じ始めた。スタンドの隅にいた記者は取材もせず、五郎丸が近づく前に席を立ったが、誰かの目を意識したわけでない、心からの気配り、優しさに胸を打たれた。

 15年W杯後には、12月6日のコカ・コーラ戦で右手甲を強打して途中交代しながら、次戦以降も痛みを表に出さずに出場を続けた。その責任感に加え、再びサックスブルーのジャージーに袖を通してからはラグビー界全体を考えた意識がより高くなったと感じる。

 新型コロナウイルスの影響で、磐田での練習や練習試合の非公開が続く今年は、小学校での「ラグビー授業」や、W杯1周年記念イベントの出演などで競技の魅力を伝えてきた。重みがありつつ、ユーモアもにじむコメントなど記者もおおいに勉強させてもらってきた。ラストシーズン。感謝とともに一人でも多くの人が五郎丸の凄さを体感してくれることを願っている。(ヤマハ発動機担当・小久保 克治) 

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2020年12月10日のニュース