審判団の操作ミス重なり大混乱 審判委員長は陳謝も判定ミスは否定 柔道講道館杯

[ 2020年10月31日 21:13 ]

柔道講道館杯全日本体重別選手権兼全日本選抜体重別選手権第1日 ( 2020年10月31日    千葉ポートアリーナ )

男子60キロ級決勝で、電光掲示板の操作ミスにより一本取り消しの判定をする主審と、ジュリーの方を見守る小西(左)と米村
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 男子60キロ級決勝で、審判団の度重なるミスにより大きな混乱が発生。新型コロナウイルス感染拡大後、柔道では初の全国大会だったが、後味の悪さも残す結果となった。

 決勝では米村克麻(24=センコー)と小西誠志郎(21=国士舘大)が対戦。開始1分30秒ごろ、米村が立ち技で「技あり」を奪い、寝技争いに移った。ここで逆に小西が米村を押さえ込んだが、電光掲示板は米村の押さえ込みとしてカウントがスタート。10秒となったところで「合わせ技一本」となり、主審も一旦、試合終了を宣告した。

 この判定に小西のコーチボックスに入っていた国士舘大の吉永監督が猛抗議。審判団が協議し、小西のポイントなしで試合を再開しようとしたところで、「めちゃくちゃじゃないですか!ちゃんとやりましょうよ」などと声を上げ、再び審判団が協議。NHKBSで生中継されている最中、5分以上も試合がストップする異常事態となった。

 混乱はさらに続く。電光掲示板には両者「技あり」が1つずつ表示され、小西が米村を押さえ込んだ状態で試合を再開。ところが再開後に小西のポイントが取り消され、押さえ込みも8秒で解けたためにノーポイントとなった。結局、米村が「技あり」のポイントを守り切って優勢勝ち。無観客開催だったものの場内は騒然となり、小西もやり切れない表情で畳を下りた。

 全試合終了後、報道各社への説明に応じた大迫明伸審判委員長は、審判団による電光掲示板の操作ミスを認めて陳謝。一方で小西の寝技によるポイントが認められなかったことについては「8秒くらいの時に(米村の)足が絡んだ。絡まれたら(寝技が)解けたになる」と説明。本来ならそのタイミングでジュリー(審判委員)が主審にワイヤレスマイクを通じて指摘すべきところ、電光掲示板の操作ミスが重なり、一本を宣告するブザーが鳴ってしまったことが大混乱を招いたと釈明。一旦は両者「技あり」と表示された点についても「そこも単純に付けてはいけない場面だった」と操作ミスだったとした。

 現在、プロ野球や大相撲ではビデオ判定や審判団の協議があった場合、競技者や観客に説明がなされた上で試合を再開する仕組みが確立されている。一方、柔道では世界的に見ても同様の仕組みがなく、当事者である選手本人にすら説明がなされぬまま、試合再開となったことも混乱に拍車を掛けることになった。大迫氏は「選手やコーチからすれば、不満を持ったと思う。今後はどんな形で今回のようなケースに対応するか、早急に検討したい」と話し、今後改善を図っていく考えを示した。

 表彰式直後、場内でのインタビューに応じた米村は「結果的に優勝できてうれしいが気まずい」と複雑な表情。スッキリしない敗れ方をした小西も「(技ありを)取られていたことは事実。一からやり直したい」と認めつつも、試合中の混乱については「(審判から)何も説明されなくて、押さえ込んだと思ったら(ポイントが)なくなって。何の説明もなく、試合中はずっと不安だった」とやるせない表情だった。

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2020年10月31日のニュース