トライアスロン上田藍 ドイツで感じた喜び ウィズコロナでの夢舞台へ「楽しみ方はつくっていける」
2020+1 DREAMS
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【THE OPINION 明日への提言】トライアスロンで4大会連続の五輪出場を目指す上田藍(36=ペリエ・グリーンタワー・ブリヂストン・稲毛インター)が今月、初の大規模国際大会となる世界選手権(ドイツ・ハンブルク)に出場し、コロナ禍での海外転戦や東京五輪までのビジョンを語った。
再スタートした上田の言葉の端々に、充足感がにじんだ。世界選手権27位の結果に満足はしていないが、確かに踏み出した第一歩。多くの日本勢が渡航制限や帰国後2週間の自主待機などの課題を前に見送った中、出場した心境を明かした。
「多くの大会が中止、延期になっている中で、プロとして活動している以上はレースに出場したいという思いがありました。感染リスクを怖がることよりも、3月からのリスク管理の経験を生かせばレースはできるという希望が見えたので」
所属チームと両親も決断を後押しした。日本トライアスロン連合(JTU)が関係各所との手続きに奔走し、上田自身はプロアスリートであることを証明する書類を用意。渡航直前にPCR検査を受けて証明書に医師のサインをもらい、9月1日に日本をたった。
「全てがそろってから(航空)チケットをギリギリに発券するような状態でした。いつもならチケットやホテルは早めに押さえていますが、出発の前日に(書類など)そろっていく状況だったので」
通常であればトレーナーやメカニックらが同行するが、今回は人数を絞って山根英紀コーチ(51)と2人で渡独。フランクフルト空港到着後の入国審査は書類のおかげでスムーズだった。例年はハンブルクまで国内線を乗り継いでいたが、感染リスクを考慮してレンタカーでの移動を選択。約500キロの陸路を5時間走らせた。
「ハンブルクでの世界大会は長年、日本でいう銀座のようなところを駆け抜ける都市型のレースでしたが、今回は無観客の公園内で全てが完結するような形で行われました」
コースとなる公園内の道路は高いフェンスで囲まれ外と完全に遮断。公園の出入りにはIDカードの確認と体温チェックが徹底された。通常は会議室などで開かれる競技説明会はリモートで実施。ゼッケンなどを受け取るパケットピックアップも国別に時間指定され、試走は8~10人の小グループで行われた。
「マスクもレース直前までしてスタート近くのゴミ箱に捨てる形でした。全員(スイムの)ゴーグル、キャップ、マスクで異様な光景(笑い)。でも国旗が入ったマスクを自慢している選手もいて新鮮でしたね。レースが始まると、フェンスの小さな隙間からのぞいて応援してくれる声が聞こえたり、うれしい部分もありました」
試合後、上田は旧知のドイツチームが活動拠点にしているポツダムに移動して一緒に練習を積み、翌週にチェコのカルロビバリで行われたW杯にも出場。ハンブルク大会のコロナ対策を「成功例」として踏襲したレースは18位でゴールし、無事2戦を終えた。
JTU理事の肩書も持つベテランには、もう一つ大きな目的があった。日本での競技会は10月から再開予定で、11月には五輪会場のお台場海浜公園で日本選手権が開催される。10月のイタリアでのW杯後に帰国予定の上田は、2週間の自主待機期間の調整を「チャレンジ」と捉えながら、コロナ対策が徹底されたレースの経験を生かしたいと考えた。
「今回のコロナ対策を報告して、一緒に大会の準備をしていけたら。無観客だとしてもフェンスの隙間から応援してくれる方がいるように、レースを望む観客はいる。その臨場感をどう伝えるかも、リモート会議といったコロナ禍で生まれた良いツールをミックスした方法があると思う」
トライアスロンは観客との距離の近さが魅力の一つ。国内大会ではゴール前の観客とのタッチも恒例となっているだけに、収束を願う思いは強い。一方で、上田は新しい道を模索する重要性も説く。
「ハンブルクをライブ動画で見て興奮したという人もいたので、コロナ禍での新しいトライアスロンの楽しみ方はつくっていけると思う。映像で理解してもらえるような準備や、こういう見方をしたら楽しいですよ、という周知をしたり面白くしていける。今までの中からなくなったものに目を向けるんじゃなくて、さらに上をいく考えで変えていくことが大事だと思います」
上田は昨春のレース中のバイク落車で外傷性くも膜下出血、肺気胸、脾臓(ひぞう)裂傷を負い、復帰後の7月の世界シリーズ・ハンブルク大会では足底腱膜を断裂。2度の大ケガを乗り越え、昨秋のW杯では優勝を飾った。その競技に対する姿勢は、コロナ禍の受け止め方と通ずるものがある。
「腱膜断裂後はカバーする動きとして、これまでのストライド走法からピッチ走法に対応できる練習をすることで得意のランのレパートリーが増えました。悪いことが起きてもマイナスのまま受け止めないことで、新たな発見や成長が待っているということを長い競技生活の中で何度も繰り返してきたんです」
初のメダル獲得を掲げ37歳で迎える4度目の五輪は、選手である自分自身だけでなく、全ての人と一緒に目指すものと信じている。
「世界の日常が戻るその節目に五輪があって、みんなが収束を目指す目的になるのであれば、それは素晴らしいことだと思います。私自身のレベルも可能性は無限大にあるので、メダル獲得に向けて信じて仕上げていきたい」
≪刺しゅう入りトートを母の日にプレゼント≫コロナによる自粛期間中は「一回、シーズンオフのような形で張り詰めていたものを落とした」と割り切り、室内トレーニングで体力維持に努めた。5月10日の母の日には、カラフルなフェルトで母・ひとみさんをイメージした刺しゅうの手作りトートバッグをプレゼント=写真、本人提供。喜んでもらえたようで「時間があったので普段はやらないことができました。かなり良い出来です」と満足げだった。
◆上田 藍(うえだ・あい)1983年(昭58)10月26日生まれ、京都市出身の36歳。京都・加茂川中時代は水泳部、洛北高では陸上部に所属。18歳で本格的にトライアスロンを始める。日本選手権5度優勝。08年北京五輪17位、12年ロンドン五輪39位、16年リオデジャネイロ五輪39位。今年から国際トライアスロン連合、JTUの理事を務める。1メートル55。
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