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【東京五輪あと1年 二宮清純氏直撃に森喜朗会長激白(2)】有事ゆえ…延期費用「3等分案」

[ 2020年7月23日 07:01 ]

森会長に直撃取材をした二宮清純氏(撮影・小海途 良幹)
Photo By スポニチ

 新型コロナウイルスの影響で来年へ延期となった東京五輪は23日、開幕1年前を迎える。史上初の延期に伴う追加経費や大会の簡素化、コロナ対策など多くの課題を抱える五輪は1年後、無事に開催できるのか。東京五輪・パラリンピック組織委員会の森喜朗会長(83)を、スポニチ本紙コラム「唯我独論」でもおなじみのスポーツジャーナリスト二宮清純氏(60)が直撃した。(構成・スポーツ部専門委員 中出 健太郎)

 二宮 延期の追加費用が3000億円ぐらいかかると言われています。IOCが700億円ぐらい(6・5億ドル)出すと言ってますが(注1)。

 森 まだ全然議論していない。向こうが勝手に言ってるだけ。我々の合意点は、延期としたためのものを一つずつ精査して、それから決めましょうと。

 二宮 IOCが先走ってると?

 森 早く手を打ったんですよ。どうせ負担するのならと、自分たちが負担すべき部分で800億円みたいなことを言ってきたわけ。

 二宮 既成事実のようになりつつある。

 森 総額的にどうなるか。今は全然分かりません。3000億円なら1000億円ずつの3等分案がないわけじゃない。

 二宮 IOCが1000億円、組織委員会が1000億円、東京都が1000億円。

 森 まあ、国にも負担してもらわないと。大岡裁きみたいなものだね。

 二宮 問題は誰が大岡忠相の役をやるのか。

 森 しかし、原則みたいなものはあって、IOCと東京都との契約では、開催都市が全部持つことになっている。だから、今さら何を言うんだというのがIOCの言い分なんです。しかし延期は、東京都のせいでもなければ日本の委員会の責任でもない、かといってIOCでもない。コロナという、地球が反転するような話なんで。

 二宮 今は有事です。

 森 それなら、みんなが負担すべきではないかと思うんです。

 二宮 観客減の話はどうでしょう。900億円を見込むチケット収入が減収となれば組織委員会の懐が痛みます。

 森 これも言うは易しでね。もう既に切符は世界中で売れているんですよ。無観客にするというのなら全部払い戻しで、これは簡単です。ただ、ソーシャルディスタンスで(席の)間隔を空ける、観客を半分にするとなったら、夫婦でチケットが当たったとして、どっちが行くのかということになる。売るのはコンピューターにかけてやったけど、間引きして分けるのは機械じゃできない。それこそマンパワーでやらないといけない。

 二宮 IOCはテレビ放映権料が入れば、それほど懐は痛まない。トーマス・バッハ会長は「(無観客は)望んでいない」と語っていますが…。

 森 まあ、ねえ。無観客でやるというならやってみてください、だよ。それまで神様に祈るしかない。
(続く)

 ※(注1)IOCのバッハ会長が5月14日の理事会後、延期となった東京五輪に最大8億ドル(約860億円)、うち大会運営費に6億5000万ドル(約700億円)を拠出すると表明。延期による追加経費が最低で3000億円と報じられる中、IOCと組織委は4月16日に追加経費について「共同で評価・議論する」と合意しただけで、事前に知らされていなかった。同20日にはIOCが公式サイトに「追加費用を日本が負担することに安倍首相が同意」との見解を掲載し、組織委の指摘で修正する一幕もあった。

 ◆森 喜朗(もり・よしろう)1937年(昭12)7月14日生まれ、石川県出身の83歳。早大ではラグビー部に4カ月間所属。新聞社勤務、議員秘書を経て、69年の衆議院議員初当選から14期連続当選。自民党三役(幹事長、総務会長、政務調査会長)、文相、通産相、建設相などを歴任し、00年4月に第85代内閣総理大臣に就任。12年に議員を引退した。14年から東京五輪・パラリンピック組織委員会会長。日本ラグビー協会名誉会長。

 ◆二宮 清純(にのみや・せいじゅん)1960年(昭35)2月25日生まれ、愛媛県出身の60歳。フリーのスポーツジャーナリストとして五輪は過去に8回現地取材。スポニチ本紙では00年シドニー夏季五輪、02年ソルトレークシティー冬季五輪、04年アテネ夏季五輪で観戦記を執筆し、毎週水曜日付で「唯我独論」を好評連載中。「スポーツ名勝負物語」「勝者の思考法」「最強のプロ野球論」「歩を『と金』に変える人材活用術」(羽生善治との共著)など著書多数。19年から広島大学特別招聘(しょうへい)教授も務める。

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