“総合力”の羽生 カナダ杯は難度より精度で勝つ!4回転ルッツ&アクセル入れず昨季と同じプログラムで

[ 2019年10月26日 02:30 ]

フィギュアスケート GPシリーズ第2戦スケートカナダ公式練習 ( 2019年10月24日    カナダ・ケロウナ )

<スケートカナダ公式練習>午後練習を終えた羽生結弦(撮影・長久保 豊)
Photo By スポニチ

 フィギュアスケートのグランプリ(GP)シリーズ第2戦スケートカナダは25日(日本時間26日)にケロウナで開幕する。男子で14年ソチ、18年平昌五輪連覇の羽生結弦(24=ANA)は24日、本番会場で公式練習に臨んだ。4回転ルッツ、同アクセルは組み込まないが、自身が持つ総合力でスタートダッシュを狙う。25日は男女のショートプログラム(SP)が行われる。

 羽生は、泰然としていた。GP初戦を前に過度の緊張も焦りもない。「一つ一つ、かみしめるように調整してこられたので、いい調整がしてこられた感覚はある」。ほとばしるほどの勝利への欲求は影を潜めたが、その落ち着きは自信の裏返しだ。

 好調な仕上がりだ。2度の公式練習ではループ、サルコー、トーループと3種の4回転ジャンプを試運転。午後には曲かけでミスの出たループジャンプを徹底確認し、4回転ループを4連続で着氷。4回転ルッツ、人類未到の大技4回転半を組み込まないが、完璧な演技こそが今のミッションとなる。

 呪縛が解けた。銀メダルだった昨季の世界選手権後、羽生は王者ネーサン・チェン(米国)を意識していた。「彼本人と戦っているよりも、彼の幻想と戦っていた。焦っている感じがあった」。だが、前週のスケートアメリカで優勝したチェンの映像を見つめると、新たな感情が生まれた。「自分はやっぱりこういうタイプじゃないから自分の演技をしなきゃ。彼にはない自分の武器もある」。ジャンプ競争でなく、自らの魅力をどう最大限引き出せるか。羽生は原点に立ち返った。

 今季初戦だった9月のオータム・クラシック後、ルッツやアクセルの練習に時間は割かなかった。フリーのブラッシュアップなど上質な演技への準備を心がけてきた。「ファイナルまでしっかり行きたい。それが終わって全日本(選手権)もしっかり戦いたい」。昨季と同じプログラムの精度をより高め、長いシーズンへ加速する。

 羽生を指導するブリアン・コーチは言う。「ネーサンに勝つためには、ユヅルがユヅルであればいい」――。ジャンプ、スピン、ステップ。その細部にまで思いが宿った時、羽生が新境地を開く。

続きを表示

この記事のフォト

2019年10月26日のニュース