八村出場の試合で“香港支持”の人権活動家が抗議行動 中国の対応を批判

[ 2019年10月10日 10:56 ]

ウィザーズのプレシーズンゲームで「香港擁護」を訴える人権活動家(AP)
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 ウィザーズの八村塁(21)が先発出場したプレシーズンの広州ローンライオンズ(龍獅倶楽部)戦は米国の首都ワシントンDCのキャピタル・ワン・アリーナに7935人の観客を集めて行われたが、アリーナの前やスタンドには、騒乱状態に陥っている香港のデモ隊を支持する人権擁護家が集まって中国側の対応に抗議していた。

 事の発端は、NBAジャパンゲームのために来日していたロケッツのダリル・モーリーGM(47)が、中国政府に抗議するデモが続く香港情勢について「自由のために戦え。香港を支持する」とツイートしたこと。これを受けて、中国政府やバスケットボール関係者に加え、中国のスポーツ関連企業や数億人といわれるNBAファンから“集中砲火”を浴びる事態となった。NBAはビジネス上、中国とは密接な関係にあり、中国バスケットボール協会の姚明会長(39)も元ロケッツの選手であることから、たちまち“炎上”してしまった。

 同GMは7日になってそのツイートを削除した上で「ロケッツのファンや中国にいる私の友人たちを怒らせるつもりはなかった。私のツイートはロケッツやNBAを代表するものではない」と弁明。しかし姚明氏は「ロケッツとの関係を打ち切る」と強行姿勢をのぞかせ、ヒューストンにある中国の領事館側も不快感を表明していた。

 ジャパンゲームズに出場しているロケッツのジェームズ・ハーデン(30)は「我々は謝罪します。中国を愛しています」と発言して事態の収拾を図ったが、その一方でNBAのアダム・シルバー・コミッショナー(57)はモーリーGMのツイートには不快感を示しながらも「世界の人々が異なる考え方を抱くのは避けることができない。我々は選手や幹部らが個人的に述べたコメントを削除する立場にない」として“言論の自由”を尊重。これがさらに中国側の不満を増大させる事態になっていた。

 ウィザーズがこの日対戦したのは中国リーグに所属するチームだったこともあって、今度は米国内から“カウンターパンチ”が放たれた形。ただし10日と12日には中国の上海と深センでレイカーズ対ネッツのプレシーズン2試合が開催されるため、今度はワシントンDCとは真逆の反応が試合会場でわき起こる可能性が出てきている。

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